「高等部2年柿本千種、笹川良平、城嶋犬、雲雀恭弥、六道骸、1年獄寺隼人、沢田綱吉、山本武、
 中等部2年クローム・髑髏。今名前を呼ばれた者は生徒会室まで来るように。」

「な!?なんですってぇ!?」

放課後のアッシュフォード学園に、ある男の叫び声が響いた






STAGE 4  開設!SOS団!!






「ルルーシュ・ランペルージィ!!」

凄い音を立てて、六道が生徒会室を訪れた。
もちろん扉は全自動式なので、音の原因は扉を開けたことではなく、怒りに任せて叩き付けたせいである。

「六道か、随分と早かったな。」

愛読書から目を離さずに答えると、気に障ったのか六道がそれを奪い取った。

「…どういうつもりだ?本を返してもらおう」
「ハムレットですか、さすがは副会長、自分のことが良くわかっているようです。さしずめ貴方はクローディアスということですね。」
「おい!どういうことだそれは!!」
「おや、なにか間違ったことを言いましたか?僕のボンゴレを奪おうとする貴方は、王位欲しさに兄を殺しその座を手に入れた泥棒猫の様だと思ったのですが。」
「一緒にするな。大体何が僕のボンゴレだ!!」
「いずれ僕のものになるんですよ。いちいち癇に障る男ですね…」

六道は制服のボタンを外すと、懐から三叉槍を取り出し馴れた手つきで柄を伸ばす。

「刃物だと…?校内にそんなものを持ち込んで、ただで済むと思っているのか?下手をすれば銃刀法違反で捕まるぞ。」

余裕のある言い方だが、実際そんなものはどこにも無かった。何度か見たことがある六道固有の武器だ。
見たことがあるといっても、雲雀恭弥と六道がことあるごとに衝突し使用しているのであり、それが自分に向けられるのは初めてだ。

どうする、相手はマフィアで武器を所持している。対する自分はどうだ。どう考えても勝てる見込みは無い。
ギアスを使えばあるいは…だがこいつは要注意人物だ。そんな相手に簡単に使用するわけにはいかない。
しかし使わなければ俺の命が危ない。ここは学園内だが、相手はマフィアだ。裏ルートでいくらでも処理は可能…
ツナがそんなことをするようには思えないが、ツナだって所詮裏世界の人間だ…だがしかし…

「僕には警察も軍も敵いませんよ!」
まっすぐに刃は振り下ろされる。こうなっては仕方がないと、左目に力を灯した時だった。

「ルルーシュ!!」

扉の開く音と同時に黒い影が眼前を横切る。
急いで発動を解くと、目の前には三叉槍を受け止める友人の姿があった。

「…スザク!」
「無事かい?ルルーシュ。…君は、同じクラスの」
「枢木スザク!邪魔しないでください!!」
「なにがあったかわからないけど、丸腰の相手に武器を使用している君を放っておくわけには行かない。今すぐそれを捨ててくれないか?」

いつもと違う、鋭い声でスザクは言い放つ。

「何を世迷言を!そこをどかないのなら君から始末するまでです!!」

そう言うと六道は距離を取り第二撃の姿勢に入った。

「やめてくれ!これ以上やると、僕は君を拘束しなければならなくなる!」
「拘束?できるものならやってみたらどうですか?」
「やめろスザク!怪我だけじゃすまなくなる!」
「大丈夫、僕は訓練を受けた人間だ。ルルーシュは下がってて。」
「馬鹿!ソイツは…!」

相手は一般人でなくマフィアなのだ。いくら訓練を受けたからといって、技術部のスザクと裏の世界で生きてきた六道とでは結果は見えている。
やはりギアスを使うしかないと思ったとき、奴の口からとんでもない台詞が飛び出した。


「うるさいですよさっきから!僕はこんな場所にボンゴレを呼び出して2人っきりであんなことやこんなことをしようとしているこの男を排除しなければならないんですから!
 ああ!口にしたら腹が立ってきましたよ!!とにかく関係の無い人間は引っ込んでいてください!早くしないとボンゴレが来ちゃうじゃないですか!!」


「…は?」
「…ええ!?」

思わず間の抜けた返事をした俺と対照的に、スザクは真っ赤になって叫んだ。


「ルルーシュ!君、生徒会室で、その…そういうことを!?」
「違っ!誤解だスザク!何故そんなことになる!」
「言い訳ですかルルーシュ・ランペルージ!先程白昼堂々と校内放送で呼び出しておきながら!」
「さっきの放送は理由があるんだ!大体ツナの他にも…!」
「大体君は僕とキャラが被り過ぎなんですよ!!特にボンゴレを好きな所とか、ボンゴレを可愛いと思ってる所とか、ボンゴレと結婚したいと思ってる所とか!!」
「な!?」

今度はルルーシュが赤くなる番だった。
好き、とか結婚したいという単語のせいで、「キャラが被ってる」ということを否定するのも忘れる程動揺してしまう。


俺が、ツナを好きだと!?可愛い…!?それは思ったことあるが…というかいつも思ってるが…結婚したい!?


「お、おい待て!変なことを言うな!俺はツナのことは…!」
「しらばっくれようとしても無駄ですよ!今の君の顔が全てを物語っているでしょう!ボンゴレは渡しません!!」
「違っ!おいスザク!お前なら分かって…」
「ルルーシュ、いくら好きだからって生徒会室に呼び出してそういうことをするのは僕も賛成できな…」
「だから違うと言っている!」
「顔、真っ赤だよ。」


そんなことは言われなくても分かっている…!

「ねえ、ボンゴレさんって誰?同じクラスの人?」

くそっ、なんなんだこの状況は!!
こういった話題で盛り上がったことが無いから、対応の仕方が分からない。
からかってくる友人にどうすればいいか考えていると、横のパイナップルからどす黒いオーラが出ていることに気がついた。

「勝手に僕のボンゴレの恋バナで盛り上がらないでください!」
「ちょっと待て!さっきから言っているがツナはお前のものじゃないだろう!付き合ってもいないくせに勝手なことを言うな!!」
「そっか、2人とも同じ人を取り合って喧嘩してたのか。けど武器の使用はずるいから駄目だよ。正々堂々勝負してこそ、愛が試せるんじゃない?」


スザクの奴、余計なことを…!!
というか愛ってなんだ!恥ずかしげもなく言うなこの天然がー!!


「いいでしょう、素手で勝負ですルルーシュ・ランペルージ!」
「刃物を隠し持ってた奴の言うことなど信用できるか!」
「ふん、よく考えれば雲雀恭弥じゃあるまいし、君如きに武器なんて必要ありませんよ。」
「なんだと!?」
「大体、僕にはこれがありますしね」

そう言って六道は右目に手を当てた。
まさかギアスを!?
俺とは逆の右目だが、その可能性は十分にある。
瞬時に目を合わせないよう視線をそらすと、スザクが不思議そうに首をかしげた。
確かにこれから勝負する相手から目をそらすのはおかしいが、そうしないわけにも行かない。

「おや、どうしました?何かを感じ取りましたか?けど、もう手遅れですよ。クフフ…」
「…な!?なんだこれは!?」


突然足元から、地面が崩れ落ちていく。

「ルルーシュ!」
「スザク!」

スザクが懸命に手を伸ばすも、あと少しのところで届かない。
それどころか、そのスザクまでもが奈落に落ちてゆく。
落ちる、死ぬのか?そう思ったときだった


「…!?」


何かをぶつけるような音と共に、いつもと変わらぬ生徒会室に戻っていた。
さっきまで崩れていた地面も、何事も無かったかのように直っている。

「どういうことだ…?」
「ルルさん!大丈夫ですか!?」

ふっと瞳にススキ色が映った

「…ツナ?」
「すみません!骸が本当にすみません!!」

そう言って謝るツナの後ろで、パイナップルが横たわっている。

「骸の奴、催眠術にはまってて、さっきそれルルさんに試したみたいで!本当にすみません!」


催眠、という言葉でやっとぴんと来た。
さっきのはギアスなんかじゃ無い。六道骸の固有技、六道輪廻だったわけか。


「ツナが謝ることじゃないだろ?気にしなくて良いよ。」
「でも…」
「え!?君が噂のボンゴレツナさん!?」

余程驚いたのか、スザクが目を丸くして叫んだ。

「ボンゴレツナじゃねぇ!その方は沢田綱吉さんだ!」

そういったのは獄寺隼人だった。気づかなかったが、六道輪廻にかかっているうちに山本も来ていた様だ。

「え?でもさっき六道君がボンゴレって…」
「骸の言うことは気にしないでください。あの人頭おかしいんです。」

前に一度だけ見たことのある有無を言わさない笑顔で微笑むツナに、スザクはそれ以上問うのをやめたようだ。
何故だろう、偶にツナが黒く見えることがある。気のせいだと信じたい。


「けど催眠って凄いね。ルルーシュが急に僕を呼んで手を伸ばしたから何かと思ったよ。」

おそらく落ちそうになったときのことを言っているのだろう。
ということは、あの幻覚の中で見たことは偽りでも、俺の行動は現実だったということだ。


六道め…!この俺に恥を晒させるとは…!!


「それよりさー、なんで俺たち呼ばれたんだ?」
「みんな集まったー?」

山本の声と被って、会長の声が響く。


「あら?あんま居ないわね。」
「他の人ならお兄さんが呼びに…」
「沢田ー!!極限に連れて来たぞ!!」

ツナの声を遮って笹川が現れる。後ろには、城嶋と柿本、そしてクローム・髑髏が揃っていた。

「すまんな、ヒバリの奴授業にも現れんのだ。今頃何処で何をしているのか…。」
「よしよし、大体揃ったわねー。一人足りない挙句死んでる人もいるけどまあいっか。集まってもらったのは他でもない、これよ!」

バッと会長が掲げたのは、『部活動一覧』と書かれた冊子だった。

「この学園は必ず部活動に入らなければなりません!しかーし!
 貴方たちは揃いも揃って未加入!これは由々しき事態なの!単位は貰えず卒業は出来ない!
 非常に困るわけ、生徒会としてもね。だから悪いんだけど、今ちゃちゃっと決めてもらえないかな?」

どうやら今年度の部活動参加者名簿の最終提出日が迫っているらしい。

「俺はともかく、山本やお兄さんも入ってないの?てっきり野球部とボクシング部だと思ってた」
「それがさー、ないんだよな、野球部。」
「ボクシング部もだ!!極限にプンスカだぞ!!」
「あー、昔はあったんだけど廃部になったのよね、その2つ。」
「俺はボクシング部以外には入らん!なんとかしてくれ!」
「そう言われてもねー」

なんとかして!と会長が視線で俺に訴えかける。
それに気づかないふりをしてツナに話しかけた。

「ツナは生徒会に入らないか?」
「ええ!?生徒会ですか!?」
「生徒会員なら部活は入らなくていいし、人手はいくらあっても足りないんだ。
 スザクは軍と掛け持ちだしね。そうだ、スザクの補佐ってことでどうだ?風紀委員なんだけど。」
「そういうルルーシュだって休みがちじゃないか。僕より副会長補佐なんてどう?」
「スザク!」
なにやら含みのある視線を送りながら言うスザク。どうやら応援しているつもりらしい。
余計な気を回すな全く…!


「風紀委員なら、俺よりヒバリさんの方が…。それに俺が生徒会なんて…」
「やりましょう10代目!」

獄寺は目を輝かせて言った。

「生徒会とは学園を仕切っている奴らのことでしょう?10代目こそふさわしい!いえ、10代目以外考えられません!!」
「ちょ、待ってよ獄寺君!ていうか生徒会役員って選挙とかで決めるんじゃないの!?」
「うちはそういうの割と自由なんだ」
「そんなのアリー!?」

よし、もう一押しだ。もう少しでツナを生徒会に入れることが出来ると思ったとき、この世で2番目に聞きたくない男の声が響いた。


「そうはいきませんよルルーシュ・ランペルージ!!」



…ちなみに一番はブリタニア皇帝である。


 







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