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「こんなことろで何をしているんですか?」 公園のベンチに背を預けていると、頭上から良く知る声が降りかかる 「…骸」 「全く、一人でこんなところに居るなんて君はマフィアのボスとしての自覚があるんですか?」 ついこの間ヴァリアーに襲われたばかりでしょうと言いながら、骸は隣に腰掛けた 「俺はボスになる気なんて無いって言ってるだろ。」 「そうでしたね。ですが、現状はどうですか?その指輪はボスの証なのでは?」 「……」 嫌なことを言う。 俺はマフィアになるつもりなんて無いのに。 「それにしても無防備すぎですよ。僕が君の身体を狙っていることを忘れたんですか?」 「よく言うよ。殺気も出してない奴が」 骸は苦笑して空を見上げる 空を見て、何を思ってるのか。聞かなくても解ってしまった 「なあ。骸も見たんだよな?」 何を、とは言わない。言わなくても伝わると思ったから。 「ええ。」 「お前は…あの世界のお前は、“ツナ”のどこが好きだったんだ?」 「さあ。僕はあの世界の僕とは違いますから。君だってそうでしょう?」 そうだ。俺とツナは全然違う。 俺は運動も勉強も出来ないし、マフィアにだってなりたくない 骸と初めて戦ったときに流れ込んできたL.L.の記憶。 その記憶の中に居た俺は、外見こそ同じだったがまるで別人のように感じた いや、本当に別人なんだ。 「…なんとも思わないんですか?」 「え?」 「あの世界の君を殺したのは僕ですよ。…なんとも思わないんですか?あの男にも、僕に近づくなと言われているのではないですか?」 思わず骸のほうを見るけど、俺の位置からは影になっていて表情を見ることは出来なかった。 声からも、感情は読み取れない 「あの世界の出来事は俺達に関係ないだろ。俺はお前や髑髏に助けてもらったし、今は仲間だと思ってるよ」 「…仲間ですか。それはまた」 滑稽ですね、と骸は笑う 「それにあれはL.L.の記憶なんだから、事実じゃないかもしれないだろ。ほんとは骸が殺したんじゃなくて、L.L.が勘違いしてるだけかもしれないし」 骸が驚いた顔で俺を見た そんな表情を見るのは初めてで、俺のほうが驚いてしまう 「そんなことを考えるなんて、君はよっぽどの馬鹿かお人よしですよ」 「なっ…!そりゃあ俺は馬鹿だけど…」 「ほらね、やっぱり君は…馬鹿ですよ」 なんだよ…二回も言うことないじゃんか! 「君はあの異界人が好きで、あの男は別な世界の君が好き。滑稽ですね」 「…」 「全く、滑稽ですよ。君も、あの男も。…僕も」 「…骸?」 突然立ち上がったかと思うと、骸はくしゃっと俺の頭を撫でた 「なにするんだよ」 「慰めて差し上げましょうか?」 「…は?」 意味が解らず、骸を見上げる 「ですから、あの男にふられて傷ついた心を癒してあげましょうか?」 「いや、ふられるもなにも告白すらしてないから…」 「おや、戦わずして負けるとは情けないですねえ。ボンゴレ10代目ともあろう者が」 「だから俺はマフィアにはならないって言ってるだろ!」 「その意気ですよ。僕もマフィアの守護者にはなりたくありませんから、せいぜいマフィアにならないよう頑張ってくださいね。」 「……」 「Arrivederci」 「…骸?」 瞬きをした一瞬のうちに、骸の姿は消えていた まるで最初からいなかったかのように まるで…霧のように 「また会いましょう、か…」 きっとすぐ会えるよな? 僕はマフィアが大嫌いだ 嫌気が刺す 「今は仲間だと思ってるよ」 僕の気持ちを知らないから、そんな残酷なことが言えるのだ 「あんな男の、どこがいいんですかっ…」 あんな、元いた世界の沢田綱吉しか見ていない男を、君が追う必要なんて無い あんな男より僕を見れば、今度こそ幸せにしてあげるのに そうだ、僕を、選べさえすれば… 世界ヲ血ノ海ニ変エテ君ト二人ダケデ――― 「……」 自分の考えにぞっとする 僕は今何を考えた? 「あの世界の僕と同じじゃないですか…」 ねえボンゴレ やっぱり僕は君の仲間にはなれそうにありません 仲間と呼ぶにはこの感情は、あまりにも大きくなりすぎた なあ骸 俺はお前のこと、仲間だって思ってるよ でも、獄寺君や山本、雲雀さんやお兄さんとはちょっと違う あの世界のことを知るのは、L.L.のほかには俺と骸だけだから だからさ、ちょっとだけ特別だって思ってるんだ 誰にも言えない秘めた想いも、お前になら相談できる なあ骸 俺達、この世界では、ちゃんと友達になれるよな? |