六道が部屋の鍵を開けて中へとさとす 俺が入ろうとしたらドアを閉めるんじゃないかと思ったが、そんなこともなく丁寧にドアを押さえていた。 一体何を考えている…!! 「骸、ルルさんに失礼なことするなよ」 「クフッ、もちろんです」 ツナは荷物を置くと携帯を取り出し電話をかける。 会話の内容から察するに、リヴァルに謝っているようだった。 お前が謝る必要は全く無いぞ、ツナ。 「どうぞ。」 六道の声に振り向くと、テーブルの上にはたった今入れられたであろう緑茶が置かれていた。 …ツナに言ったにしては声が小さすぎるし、距離もある。なによりツナは電話中だ。 「おや?緑茶はお嫌いですか?」 「それは俺に入れてくれたのか?」 「ええ。言ったでしょう?今日1日仲良くしようと」 にっこりと微笑む六道に頬が引きつる 「そうか。せっかくだから外の景色でも見ながらいただくとしよう」 お茶を持って立ち上がると窓を開ける。ちょうど目の前を横切った鳥にお茶をぶっ掛けた。 鳥は痙攣を起こすと、暫くした後ボトンッと音を立てて空から落ちた。 「お前俺を殺す気か!」 「ちょっと眠らせようとしただけですよ!殺したいのに殺さなかったんですから感謝しなさい!!」 感謝できるか!あんなものを飲まされたら永遠に眠りから醒めない気がする。 「では気を取り直して、お菓子でもどうですか?」 「どうして全部封が開いてるんだ?」 「手間を省いたんですよ。いちいち封を開けるの面倒じゃないですか」 煎餅を封を開けたまま持ち歩いたらしけると思う。 「あれ?お菓子?俺にもちょうだい」 いつの間に電話を終えたのか、ツナが手を伸ばす 「だめだツ…」 「げげげ幻覚ですよ!ルルーシュ・ランペルージに手品を見せていたんです!!」 六道は恐らく薬品入りであろう菓子をツナから必死に遠ざけ、とうとう幻覚を使って消した おい、やっぱり何か入っていたんじゃないか。 今日は食事にまで気をつけなければならないのか…非常に面倒だ。 だがコイツは俺を眠らせるなり何なりして、ツナと2人で…口では言えないようなことをしようとしているに違いない。 そんなこと俺は認めない!!絶対に阻止してやる!! 「幻覚って、お前…」 「手品ですよ手品!仲良くしようと僕なりに考えたんです!」 「…ホントに?」 「本当です!!」 仲良く、ね。思っても無いことを言っている六道に頬の引きつりがおさまらない。 もっともそれは六道も同じようだが。 「…はあ。まあいいや。ルルさん、俺獄寺君達とこの辺散歩しようと思うんですが生徒会の人たちも一緒にどうですか?」 「ああ、会長もまずは散歩だって言ってたしそうさせてもらうよ」 「いつの間にそんなことになったんですか!?僕が君を誘おうと思っていたのに!!」 「お前が無理矢理部屋変わって貰ったリヴァルさんに謝る為に一緒に居る獄寺君に電話したからだよ。」 「僕は!数分前の自分が憎い!!」 ハンカチを噛み締めキーキー言ってる六道を無視してツナが部屋を出る 俺にお茶を飲ませようとしていたせいで出遅れたのが許せないらしい。 ハッ、いい気味だ。 「ルルさん、早く行きましょう」 「そうだな。鍵も掛けたし行くか」 「ちょっと!開けなさいルルーシュ・ランペルージ!!」 六道はドアノブをうるさく回しながらドアを叩く 「…中からなら簡単に開くだろ」 壊されては困るから仕方なくそう言うと、少し間があって扉が開かれた 「そんなことはわかってますよ。君も大概馬鹿ですね」 馬鹿を強調した言い方がムカつく いちいち癇に障る奴め…!! 「ひい!なんか鳥が落ちてるー!!」 「ああ、それはルルーシュ・ランペルージが落としたんですよ」 「人聞きの悪いことを言うな!!」 「事実でしょう!」 「元はといえばお前が睡眠薬なんか混ぜるからだろう!!」 「骸、睡眠薬って?」 「寝つきが悪いというので差し上げたんですよ」 「言ってない。俺は寝つきも悪くない」 「嘘はいけませんよ」 「どの口が言うか…!」 つかれる。その一言に尽きる。 六道の相手をするのがこんなにも大変だとは思わなかった。 というか、何故俺は六道の相手をしているんだ? ツナと話すならともかく…いや、これは六道も思っていることか。 ツナに話しかけようとすると六道が阻み、六道がツナに話しかけようとすれば俺が阻む。 そんなことをしているうちに、いつの間にか六道とばかり話す羽目になっている。 今日はナナリーとゆっくり楽しむはずだったのに…何故こんなことに… 「なんだなんだ?先輩と骸の奴、仲良くなった見てーだな!」 「どうやったらそう見えんだよ!!」 獄寺の言うとおりだ山本。お前は眼科に行け。ナナリーと同じところでよければ紹介してやる。 暫くすすんだ先は、少し足場が悪くなっていた。 普通なら若干歩きづらい程度だが、車椅子では通れない。 「俺とナナリーは別な道を行く。適当に歩いたら先に部屋に戻ってるから」 六道とツナを残していくのは不安だが仕方ない。大丈夫。2人きりじゃないんだ。ここには獄寺だっている。 変なことをしようとすれば自称右腕である奴が止めるはずだ。 「見ろよ獄寺。あの家よくねえ?いつか俺達の家建てる時はあんなのにしよーぜ!」 「ばっ!何言ってんだテメー!!」 獄寺が止めるはずだ。…気づいてさえいれば。 「大丈夫だよルルーシュ」 「何が大丈夫なんだ?」 「7年前も、よくこうしたじゃないか」 そう言うとスザクはひょいっとナナリーを抱えた 「きゃっ!」 「スザク!ナナリーが驚くだろう!!」 「ごめん。でもこれなら一緒に行けるでしょ?」 それはそうだが… 「よし!俺は車椅子を運ぶぞー!!」 笹川が軽々と車椅子を抱え、止める間もなく先へ行ってしまう おい!どうして車椅子を持ってそんなに早く走れるんだ! 「笹がっ…」 「大丈夫ですお兄様。みなさんとお散歩が続けられて嬉しいです」 「ナナリー…」 「スザクさん、ありがとうございます。」 「このくらい全然いいよ。」 後で笹川さんにもお礼を言わないと駄目ですね、とナナリーが嬉しそうに微笑む 「ナナリー。あの花、いい匂いがする」 「どこですか?」 「こっち」 あんなに楽しそうに笑うナナリーを見るのは久しぶりだ。 「旅行に来てよかったな…」 「ルルさん」 てっきり先に行ったと思っていたツナが隣にいて驚いた。 「待っててくれたのか?」 「はい。というより、俺も一緒に別な道行こうと思って」 「ツナも?」 「はい。せっかくだから、もっと話したいなって」 もっと、話したい…? そんなふうに思ってくれているのか…? 「ナナリーと」 「……あ、ああ…そうだな」 そういえば今日ツナはナナリーと話してなかったな… 期待した自分が虚しい。 いや、ナナリーと話したいと思ってくれたことは凄く嬉しいんだが… この気持ちをどこにぶつければいいんだ… 「ナナリーなら、クロームとスザクと一緒に…」 「いいんです。なんか邪魔しちゃ悪いなって思ったし。」 ツナと2人で街道を歩く 六道は城嶋に捕まっているようで、皆と少し離れて歩いている状態はまるで2人きりだと錯覚させた 「温泉、楽しみですね」 「そうだな。ここの温泉は沢山効能があるらしいから、色々試してみるといい」 「もしかして、ナナリーを連れてきたのってそのためですか?」 「よくわかったな。俺が会長に頼んだんだ」 事故の後遺症や、ストレス、神経痛。 温泉に入るだけで治るとは思わないが、少しでも可能性があるものは試してみたかった 「……」 「ツナ?」 「…あっ…すみません。皆と離れちゃったし、行きましょう」 それ以降、ツナはずっと何か考えているようだった。 |