「え?」
「だから沢田君の好みのタイプは?」

目を輝やかせた会長が目の前にせまる
手には紙とペンをもっていて、逃がさないと言うように近づいてくる
あまりの気迫に後退りするも、下がった分だけ会長も前に出るから距離感は変わらない
むしろ会長の一歩が大きいから近づいている気がする

「何でそんな質問を…?」
「いいからチャッチャと答えなさい!」

答えになってない。
そんなことを突っ込む勇気は持ち合わせていなかった

「や、優しい人とか…?」
「悪くない答えだけど抽象的すぎるわ。もっとこう詳しく!」

当たり障りのない答えは却下された
詳しくって、かなりのむちゃぶりキター!!

「髪や瞳の色は?身長や年齢も気になるほう?」
「そういうのは別に…」
「もう分かりやすく人に例えてくれると有り難いわ!」

例え!?
ていうかなんでこんなこと言わされてるの俺!?

「えと、会長はとても素敵だと思いますよ」
「ありがと。でも私が聞きたいのは沢田君の好みのタイプなの」

笑ってるけど目が笑ってない。
怖い。

「ク、クロームは髪型はあれですが素直で優しい…」
「だからそんなことを聞いてるんじやないのっ!」
「ひぃ!ごめんなさい!!」

何がいけないんだよー!!
俺が知ってる女の子ってあとはナナリーしかいないけど、「ナナリーが好みです」なんて言ったらルルさんが何て言うかわからない。

「あの、ほんとに…」
「いいから沢田君の好きな男を教えなさいって!」

「……………………男性?」
「ええ。ルルーシュなんてどう?ちょっと頑固でシスコンだけど優しいし顔も…」
「骸おおおお!!!!!」

なんで気付かなかったんだよ!
こんな変な質問するのアイツしかいない!!

「え!?六道君!?沢田君、六道君のこと好きだっ…」
「ああもう白々しい!白々しいから!!いいから早く会長から出ろ!!六道輪廻は使うなって何度言えばわかるんだよ!!」
「さ、沢田君?」

会長が驚いた様に俺を見つめる
わけがわからないというように

「………………」

変な演技は止めろという視線を送るも、一向に止める様子はない
…バレてるのが分かっているのに会長のフリをする理由はない
俺の怒りが増すだけだってわかってるはず…

「沢田君、本当に六道君が好きなの?」

そういえば、骸の気配を感じない
じゃあ、まさか、本当に

「会長…?」

本物の?

「な、なに?覚悟は出来たから本当のこと言っていいわよ」

ファイティングポーズを取りながら返事を待つ会長は間違いなく…

「すみません!!違うんです!あの、えっと、校庭!校庭に骸がいて何か変なことしてたからつい叫んじゃって!!」

我ながら無理あるー!!
なんでもっとまともな言い訳出来ないんだよ!!

「え?そうなの?」

信じたー!?

「そうなんです!すみません後でちゃんと言っとくんで!!」
「そう…まあいいわ。じゃあ…」

良かったなんとかごまかせ…

「改めて聞くけど沢田君の好きな男性のタイプは?ていうかルルーシュはどう?」

てなかったー!!
まわりにまわって最初の質問戻ったー!!

「えと、好みの男性ですよ…ね…?」
「そうよ。ズバリ!答えてちょうだい」

なんで男性?
ああもしかして同性からみた評価みたいなやつだろうか
ルルさんの名前挙げてたのも女性には人気あるけど男性にはどう?って意味か。

…!

ここで珍しく閃いた
目の前にいるのは会長一人
そして会長を好きな人を俺は知ってる

「俺の好みはリヴァルさんですね」
「はあ!?」

リヴァルさんはルルさんの友達で、骸達とも同じクラス。
ヒバリさんの誕生日に部屋が壊れて少しの間泊めてもらった時、「会長、俺は貴方が好きだー!」って酔いながら叫んでた。
未成年の飲酒については突っ込まないことにして…リヴァルさんの良いところを会長にアピールする絶好の機会だ。

「リヴァルさん凄く優しいんですよ!買い物あるって言ったらバイクで連れて行ってくれたし、他にはそう!
寮の食事って平日の朝と夜しか出ないから、休日は自分でなんとかしなきゃいけないんですけど、朝起きたら包丁の音といい匂がして、エプロンつけながら
「おはよ〜ご飯できてるよ」って言われたんです!いい旦那さんになりますよきっと!話も面白いし、色々気を使ってくれるし恋人になったら凄く優しくしてもらえると思います!」

言った。言い切った。これでもかというくらいリヴァルさんのいいところをアピールした俺はやり遂げたという満足感で満たされていた。
やりましたよリヴァルさん!

「そんな…思わぬ伏兵が…」

会長さんは信じられないというように紙とペンを落とす
そんなに意外だったかな?普通にリヴァルさんいい人だと思うけど…

「…ねえ沢田君。料理ならルルーシュも出来るじゃない。リヴァルって味音痴でしょ?ルルーシュの方が良くない?」
「大切なのは愛情ですよ!あ、ルルさんの料理に愛情が無いって訳じゃなくて自分の為に作ってくれたという事実だけで美味しいというか…」

やばい、リヴァルさんが味音痴なこと会長は知ってたのか
あの日だされた朝食の味を思い出して思わず苦笑した

「そんなにリヴァルのことを…」

会長の足取りが重い
まるでゾンビのようにフラフラと歩き出した

「か、会長?」
「…お願い沢田君、今の話、ルルーシュには言わないで…」
「?はい。わかりました…」

なんでルルさんに言っちゃ駄目なんだろう。
まあいっか。

「じゃあ、私帰るから…」
「さようなら〜…」

おぼつかない足取りで会長は生徒会室を後にした
一体なんだったんだろう
気にしても仕方ないから、俺も帰ろうと荷物を持って部屋を後にする


多大な誤解をされたと気づくのは、随分と先のことだった