一緒に旅行に行きたい。
骸にそう告げられたのはもう随分も前のことだった
旅行なんてずっと言ってなかったし、いいかもなと考えたのも随分前で。
どうせなら温泉にしようと、今も運営している旅館を調べて、連休にあわせて宿を取った。

「…たしかに僕は旅行に行きたいと言いました。」

喜んでくれると思ったのだが、骸の反応はイマイチだ

「うん。だから行ってるじゃん。今。」
「確かに旅行です。一緒に温泉というシチュエーションは最高です。」
「ならいいだろ。あ、見えてきた。あの宿だよ」

一体何が不満なのだろう。もしかして旅館が嫌だったのだろうか。
布団に慣れてないと思ってちゃんとベットの部屋をとっておいたんだが。

「すげー豪華なのな!」
「これが旅館…初めてくるぜ」
「極限に腹が減ったぞ!」
「みれみろ柿ピー!」
「…めんどい」
「犬…走ると危ない…」

「…なんで二人きりじゃないんですか!」
「何でって、」
ボンゴレ慰安旅行だからだろ?と言うと、骸はがっくりと肩を落とした



CEASS-1 仕組まれた偶然



「納得できません!何故僕がボンゴレと違う部屋なんですか!」
「だってお前ベット派じゃん」
事前に聞いておいた「ベットと布団どっちがいい?」というアンケートの結果振り分けた部屋割りに、骸は文句たらたらのようだ

ちなみに
俺、山本、獄寺君
骸、犬、千種
雲雀さん、お兄さん
クローム
という部屋割りである。

「僕は布団でも構いません!そりゃあ、スプリングの軋む音とか、それに合わせてあがる君の艶かしい声は魅力的でふが!?」
とりあえず一発殴っておとなしくさせる
妄想もいい加減にして欲しい

「犬と千種だって、俺達より骸と一緒の部屋のほうがいいだろ」
「おい!俺達に責任おしつけんな!いくら骸しゃんの寝言が煩いからってそんな嫌がることねえびょん!」
「え?寝言煩いのお前」
「け〜ん〜?」
「?俺なんかしたびょん?」
「めんどい…」
「テメエ等10代目がお決めになったことに文句言うんじゃねえ!!」
ああもうここロビーなんだけど。
あんま騒がないでもらえるかな。本当に。
雲雀さんがいないからまだ口論だけですんでるけど。
どこ行ったんだろう雲雀さん。温泉は行きたいみたいだったから、来てると思うんだけどなあ。

「部屋などどこでもいい!俺は早く荷物を置いて外を見て回りたいぞ!」
「どこでもいいなら黙ってなさい!僕はボンゴレと同じ部屋がいいんです!!」
「テメエと10代目を同じ部屋になんてできるか!」

「あーもうみんな落ち着い…」
「あら?もしかして沢田君じゃない?」

突然女の人に名前を呼ばれて振り向けば、そこには私服のミレイさん…と生徒会メンバーが揃っていた

「ミレイさん!?どうしてここに…」
「生徒会慰安旅行よ。それにしても偶然ね〜。そっちは例の友達との旅行?」
「はい。」
例のというのは、宿を決めるときミレイさんにアドバイスを貰ったからそのことだ。
この旅館もミレイさんのオススメみたいだから、生徒会の旅行にも使ったんだろう

「わざとでしょう会長…」
「なんのことかな〜?」
ルルさんはミレイさんと何か話していた。
宿はともかく、日にちも被るってすごいなあ。

「ナナリー。」
ナナリーに気づいたクロームが駆けてくる
骸達はまだ部屋割りでもめていてこっちに気づいてない
もういっそのこと一人一部屋にしてしまおうか。

「ツナ達も旅行だったんだな」
ナナリーの車椅子を押していたルルさんが、いつの間にか俺の隣に来ていた
「はい。ミレイさんにこの旅館教えてもらって。楽しみにしてたんですけど…」
骸達に視線を送りながら言うと、ルルさんが失笑する
「何で揉めてるんだ?」
「部屋割りです。いつもどおり骸が暴走して」
突然、ルルさんの顔が険しくなる
「…六道と同じ部屋なのか?」
「いえ、俺は山本と獄寺君と同室なんですが、骸はそれが気に入らないみたいで」
そう言うと、ルルさんが安心したように笑った。
「それがいい。アイツと同じ部屋になんかなったら…」
「何でここにルルーシュ・ランペルージがいるんですか!!」
げ…骸に気づかれた…

「いたら悪いか?俺も旅行だ。」
「悪いに決まってます!何で同じ日に同じ場所に旅行なんです!さてはボンゴレのストーカー」
「それはお前だろう!!」
「骸、ルルさんに絡むな」
「絡んでませんよ気持ち悪い!絡み合うなら君とだと決めてあります!!」
「お前さ、思考が気持ち悪い」
「わかってますよボンゴレ。君は照れて辛辣な言葉しか言えないんですよね。大丈夫です。僕は君の全てを受け止め…」
「お前さ、思考が気持ち悪い」

何を言っても骸はプラス思考に考えて会話になりはしない。
もうアイツは無視して進めることにしよう。うん。
「ねえ、沢田君。」
「なんですか?」
チェックインしたのだろう。ミレイさんは鍵を持ったままナナリーとクロームを見て言った
「よければクロームちゃん、私達と同じ部屋に泊まらせてもらえないかな?ナナちゃん凄く喜ぶと思うの」
「もちろんです!いいよな骸?」
「…ええ。かまいませんよ」
女の子一人じゃ危ないと思ってたから、それは願っても無い申し出だった
それに、ナナリーと一緒のほうがクロームも楽しめるだろうし、俺達ボンゴレ以外の人とももっと交流を持って欲しいと思っていたのでなおさらだ
「ということは、クロームの部屋が空くんですね?決まりです。そこを僕とボンゴレの部屋にします」
「クロームの部屋シングルだけど。」
「構いませんよ。狭いほうが都合がいいです。ベットもひとつで充分で」
「聞くなツナ!耳が穢れる!!」
ルルさんが俺の耳を押さえる
「ボンゴレに触らないでください!!」
「黙れ変態!!」
わー二人とも声大きいよ耳ふさがれてても聞こえるよ
身動きが取れないので視線だけあたりを彷徨わせると、ミレイさんがスザクさんに何かを耳打ちしていた
スザクさんは目を輝かせてうなずくとこっちに走ってくる…うん?こっちに?

「沢田君!」
「え?俺?」
「僕、ルルーシュと同じ部屋なんだけどかわってもらえないかな。クロームさんも知り合いが近くにいたほうが安心するでしょ?ルルーシュの部屋は、会長達の隣だから。」
「あ、はいもちろんです。ありがとうございま…」
「嫌です!!」
クロームのことで色々気を使ってもらったことにお礼を言おうとしたのに骸がそれを阻む。
「この男とボンゴレが同室なんて認めません!!」
「君は生徒会室にいたルルーシュのライバル…」
ライバル?
「って骸!お前生徒会室なんて行ったの!?」
迷惑かけてないだろうな!と睨むと「SOS団開設の時ですよ」という答えが返ってきた
そういえばあの時スザクさんも
居た気がする。
「僕はルルーシュ・ランペルージのことなんか、ライバルと思ってませんけどね」
「俺だってお前の様な変態、ライバルだとは思ってない」
「僕は変態じゃありません!一途なだけです!!」
「お前が変態じゃなかったらどんな男も紳士という事になるな」
「何か言いましたか?」

一触即発の空気を出している二人にスザクさんはのほほんと「二人とも頑張れ!」とか言ってる
いや、応援しちゃダメだから。止めてくださいお願いだから。

「いつまでもロビーにいないで部屋行くわよ!リヴァル、アンタと沢田君同じ部屋だから」
「はーい。よろしく!部屋爆発して以来だな」
「お久しぶりです!」
「ところでさ、なんでルルーシュと六道君喧嘩してんの?」
「骸のせいですかね…」
リヴァルさんに挨拶してから、荷物を取りに獄寺君達の元へ戻る
10代目と同じ部屋がいいですと言う獄寺君をなんとか納得させて会長達と一緒に部屋へ向かった。
ボンゴレが取った部屋は3階で、生徒会の部屋は2階だから、階は違うけどそんなに離れてるわけじゃない。
獄寺君も骸も大げさだよな。

「…あれ?リヴァルさん?」
部屋の前に着いたから鍵をあけてもらおうと思ったのに、持っていたはずのリヴァルさんがいない
おかしいな…さっきまでいたはずなのに
「鍵ならここに有りますよ」
真後ろから聞こえた声は…一つ上の階にいるはずのものだた
「なんでお前ここにいるんだ?」
「リヴァル・カルデモンドが部屋を替わって欲しいと言うもので」
「嘘だろそれ!!」
この旅行で会長に急接近!と意気込んでいたリヴァルさんが別な階に勧んでいくわけない。
「ツナ、部屋に入らない…六道!?」
ナナリーを会長に任せたルルさんが骸を見て驚く。
うん、この状況、信じたくない

「僕もクロームが心配ですから仕方ありません。今日は一日一緒なんですから、三人で仲良くしましょうね?」

笑顔で言う骸に、絶対そんなこと思ってないだろと心の中で突っ込んだ