「今日からここがお前の家だ。ママンにはもう話してあるぞ」
リボーンがL.L.を連れて来たのは、もちろん俺の家だった…
いつの間に話したんだよ、全く。

標的3 異世界

「ただいまー。」
「ツナ!どこ行ってたんだもんね!土産は?」
「無いよ。母さんいる?」
適当にランボの話しを聞きながら台所へと向かう
L.L.がファミリーなると言った以上、家で暮らすのはもう決定事項だろう。
俺はマフィアになる気もL.L.をマフィアにする気もないけれど。
「おかえりなさいつっくん。」
「ただいま。L.L.、この人が俺の母さん」
「あらあら、初めまして。よろしくね、L.L.君」
L.L.は驚いたように目を丸くして、はっとしたように我に返ると挨拶をした
「L.L.です。突然来てしまい申し訳有りません。」
いや、突然呼んだのは俺なんだけど…不本意ながら。
「そんなこと気にしないで。家族が増えて嬉しいわ。」
「…L.L.!?」
ちょ、なんで突然涙ぐんでんの!?
「すみません。随分前に、家族を亡くしたものですから…」
その言葉は、俺に胸に鈍く突き刺さった




元の世界に返りたくないのかと聞いたとき、L.L.は「ああ」と言った。
それは、大切な人が、もうその世界にはいないから?
「良い人だな。」
「え?」
「ツナのお母さん」
「そう、かな…」
L.L.は珍しそうに俺の部屋を見渡している
「うち居候多くて、もう空いてる部屋ないんだ。悪いけど俺と同じ部屋でいいかな。」
「いい、のか…?俺が同じ部屋で」
「うん。別にいいけど…リボーンのトラップに気をつけてくれれば。部屋爆発すると片付け面倒だし」
今更一人部屋に拘ったりしない。既にリボーンが来てからは、部屋の主が入れ替わっているようなものだし。
「爆発って…すごいな」
「うん。」
「…」
「…」
会話が続かない。なんというか、L.L.の雰囲気が、他の人と明らかに違うのだ
すごく優しいまなざしで、すごく幸せそうに俺のことを見つめてる
獄寺君ともまた違う、本当にいとおしそうな瞳で…
「…あの、さ!」
「何だ?」
「そんなに見られると、話しづらいんだけど!」
L.L.の世界の俺は、一体何をしたんだよ!!
マフィアになることを受け入れていて落ち着いていたなんて本当に別人だから、俺のことをそういう目でみるのやめて欲しい!
「すまない。つい…いつ夢から醒めるかわからないから、少しでも長くお前を…」
「だーかーらー!!夢じゃないって言ってるだろ!!」
いくら言ってもL.L.は信じてくれない。
そんなに信じられないのだろうか。まあ無理も無いけれど。
幸いなのは、L.L.が元の世界に戻りたいと思っていないことだ。
良く考えたら、戻りたいといわれても、戻す術を俺は知らない
なんて浅はかな行動だったんだろう。
まさか成功するとは思わなかったから、帰す方法なんて考えてもいなかった
「…L.L.の世界では俺達どういう関係だったの?」
もしかして獄寺君みたいな感じかなあ…
だとしたらL.L.の世界に獄寺君はいるのだろうか。
いたら右腕の取り合いになりそうだ…俺はマフィアにならないけど、L.L.の世界の俺はなる気だったみたいだし…
「共犯者」
「…は?」
「俺はテロリストで、ボンゴレ10代目の共犯者だった」
「はい!?」
え、うそ、テロリスト!?L.L.が!?
「…嘘だろ」
「何故そう思う?」
「なんとなくだけど」
ただの共犯者なら、そんな目で俺を見ないだろ、とは言えない
「嘘じゃないんだが…一緒にいたのは学園が多かった。同じ部活で、ツナが後輩だったんだ。笹川がすぐにサンドバックを壊すから、部費が足りなくなって大変だった。山本もよくバットを…」
「俺が部活!?それもお兄さんと山本も一緒の!?」
「ああ」
ありえない。やっぱり別人すぎる。L.L.世界の俺!!
「それって何部?ボクシング?野球?まさかかけもち…」
「スポーツ同好会だ」
「なんでそんなの入ってんだ俺ー!!」
そしてお兄さんと山本!
「ねえ、L.L.の世界には他に誰がいた?雲雀さんは?」
「雲雀恭弥は指定の制服を着ずに、いつも学ランで登校していたな」
「うわっ、まんまだ!」
別の世界でも学ランなのか雲雀さんは。
「じゃあランボにビアンキは?」
「雷の守護者には会ったことがある。ビアンキは初めて聞いたな…」
「…雷の守護者って何?」
ランボのことかな、と考えていると、またしてもL.L.が驚いたように目を見開く
「違うのか?」
「何が?」
「雷の守護者は、ボヴィーノのランボじゃないのか?」
「あー、俺マフィアのことよく知らないから、ボヴィーノのことなんかさっぱり」
「そうじゃない。じゃあ他の守護者は?」
「守護者って何?」
あれ、L.L.が考えこんでしまった。なんか重要なことだった?
でも俺わかんないし。
「ボンゴレリングは?」
「知らない」
「…」
え、何。俺なんかまずいこと言った?
「…1つ聞きたい。お前は今何歳だ?」
「13」

L.L.が出会ったときの俺は、どうやら15だったらしい。
2年たってもマフィアになると言ってるとは思えないけど、まあ落ち着きがあったというのはそのせいだろうと思う。