異界の者を呼び寄せしファミリーに、永遠の栄えあり―






標的1 異界の人くる!






長いマフィアの裏歴史には、ある一つの伝説が存在した



異界の者を呼び寄せたファミリーは永遠に栄える―



初代ボンゴレボスがファミリーを作り上げた時、異界の者が大きく貢献したという言い伝えが、マフィア界で伝説と呼ばれ受け継がれているらしい



「つーことで俺達も異界人を呼び出すぞ」
「なんでだよ!!」

まるで当たり前のように言われた一言に頭を抱えたくなった

「どうかんがえても都市伝説だろ!異世界とかあり得ないし…」
「そんなことねーぞ。異世界は存在する。パラレルワールドつったほうがわかりやすいがな。」
「パラレルワールド…?」
「色々なパターンの未来が存在するってことだ。例えば、俺と出会わずダメダメの超ダメ人生を送るツナと、俺のおかげで立派でかっこいいマフィアのボスになるツナとかな。」
「嫌な例えだな!!」
「さらにだ。10年バズーカでやってきランボは俺達の世界で育ったランボとは限らない。」
「…えっと…??」
「つまり、異世界人を呼び出すことは可能というか既にできてるんだ。」
「そうなのー!?あれ?だったらあらためてやる必要ないんじゃ…?」

ああでもこれだとランボが呼びだしたことになるのかな。じゃあまさか…俺が10年バズーカに当たるってこと!?

「さらに言えば、ママンと家光が出会わなかった未来、つまりツナが存在しない未来だってある。」
「えっ…」
「そういう未来からは、バズーカに当たっても10年後のツナを呼び出すことはできない。だから10年バズーカは“対象者が存在する未来”から対象者を連れてきてるんだ」
「なんとなくわかるけど…それがなんだっていうんだよ」
「だからこの世界には存在しない奴を呼び出し、とどめることが出来て初めて伝説の異界人を呼び出したことになるんだ」

つまり10年バズーカじゃ呼び出せないってことらしい

「でもどうやってやるんだよ。無理だろ。」
「やり方を書いた本がここにあるぞ」
「あるのかよ!!」
「だが、長い歴史の中で成功したのは初代ボンゴレだけだ。だから伝説なんて呼ばれてんだぞ」
「だからそれってガセじゃ…」

うんざりしてきた俺とは対照的に、獄寺君が目を輝かせる

「やりましょう10代目!」
「なんかたのしそーだしな!」

2人の言葉にリボーンはニヤリと口許をあげた

「成功すれば歴史に名を刻むことになるぞ。頑張るんだな」


「マフィアの歴史になんか刻みたくないからー!!」













結局無理矢理参加させられてるし…
夜の並盛公園で溜め息を付きたいのを堪えながら、チョークで地面に円を書く
このチョークどうしたんだろう。学校からパクったのなら後でヒバリさんに殺されそうだ

「ツナちゃんとやれ」
「解ってるよ。獄寺君がつけてくれた印をなぞればいいんだろ?」
「そうだぞ。ちなみにその魔方陣を調べたのは俺で、チョークを持ってきたのは山本だ。」

つまり何もやってない俺はなぞるくらいしろと言うことだ
別にそれはいいんだけど少しでもずれたり間違えたりすると魔方陣の効力が無くなるとリボーンが見張ってるから地味にキツい。
中腰でやらなきゃ駄目だから意外と腰にくるというおまけつきだ

「ふう…出来たよ。これでいいんだろ」
「よし。じゃあそれぞれ配置に着くぞ。お前達3人で三角を作るようにして魔方陣を囲むんだ。ちゃんと印の上に乗れよ」
「はいはい…ってリボーン、お前は?」
「俺は少し離れたところから見守ってるぞ」
「なんだよそれ!」
「仕方ねぇだろ。俺は呪文を覚えられなかったダメツナに逐一教えるっつー役目があるんだ。誰かさんが暗記出来なかったせいでな」
「あんな量覚えろっていうほうが無理だろ!!」
「いいから黙ってやりやがれ」

リボーンが銃を出し威嚇して来たため仕方なく言われた場所に立つ

まあ口ではああ言ってるがカンニングさせてくれるあたりを見るとリボーンもあれを覚えるのは無理だと判断したようだ

「んじゃ、俺の後にちゃんと復唱しろよ。間違えたらどうなるかわかってるな?」
「はいはい…」


「いくぞ」


リボーンはいつものコスプレで魔方陣の側にたつと、古びた書物を取りだす


「我、所望する」
「…!我、所望する」

いつの間にか異界人を呼び出すという儀式は始まっていて、それを慌てて復唱する
ギロッと冷たい視線が突き刺さった


「人ならざる力、王の力を持つものを」
「人ならざる力、王の力を持つものを」


王の力…?
なにかの例えなのだろうか

考える前に次の台詞が始まったから、疑問は直ぐ頭から消え去った









「我は誓おう」
「我は誓おう」

「彼のものを仲間とし、いついかなる時も共にあると」
「彼のものを仲間とし、いついかなる時も共にあると」

「契約しよう」
「契約しよう」

「力を持つものよ」
「力を持つものよ」

「我の前にあらわれたまえ」
「我の前にあらわれたまえ」


最後の台詞を言い終えた時だった


「…えぇ!?」
「うわっ!!」
「10代目!!」

地面が揺れ、衝撃と共に魔方陣が光りだす

「なっ、なにこれ!?どうなってんの!?」

眩い光に目が眩む

なんとか堪えて目を細めると、俺と山本と獄寺君の立っている場所のちょうど真ん中に、ふっと何か影のようなものが現れた


「…え?」


まさか
まさか
そんなはず…


『なんだ…?』

「人ー!?」

魔方陣の上に現れたのは、黒髪の綺麗な男の人で

「まさか、まさかー!?」

「成功、だな」

リボーンだけがニヤリと微笑んだ