約束したんだ。ともに優しい世界を作ろうと。

だから俺は突き進む。

ナナリーのため、ユフィのため。


そして―ツナのために。




FINAL STAGE  ゼロ




「…六道はいないか…」


山本と獄寺がよこした情報は1つ。クローム、城嶋、柿本が六道によって殺されたというものだけだ。
あいつは俺がゼロだということを知っているのだから、これだけ大きな騒ぎを起こせば向こうから来るかもしれないと踏んでいたが…


…クローム・髑髏。ナナリーはあの女をとても大切に思っていた。
その女も六道は殺した。


「…黒の騎士団総員に告げる。オッドアイで青髪の男がいたら、すぐに私に知らせろ。いいな。」



通信を切り、コックピットを開ける。眼下に見えるのは、ナイトメアから放り出された敵軍指揮官。
もうすぐだツナ。コーネリアさえ倒せばこの戦いは終わる。優しい世界ができるんだ。



コーネリアにギアスをかける
だが、肝心な情報は得られない
「六道骸という人物については?」
「…」
「…チッ」
『おい!戻って来い!』
C.C.の珍しく焦ったような声に仮面を被りながらこたえる
「わかっている。そろそろ政庁の守備隊が…」
『違う!お前の妹が攫われた!』


馬鹿なことを。
ナナリーは今、会長達と学園にいるはずだ。
黒の騎士団に護らせているから、今日本で1番安全な場所だ


『私にはわかる!!神根島に向かっている!』
「…何?」


C.C.の言ったことは本当だった
生徒会室にいない。携帯も繋がらない。

どこにも、いない。


「ナナリーまでいなくなったら、俺は…!今まで何のために…ユフィまで、犠牲にして…!!」
「…ルルーシュ」
「…」
「以前聞いたな。妹のために優しい世界を作ること、母の仇を討つこと。どちらがお前の目的かと。」
「…ああ。」
「お前はそれは同じだと言った。今もその気持ちは変わらないか?」
「もちろんだ」
「なら…好きな男の仇と妹、今のお前はどちらを取る?」


「なん、だと…?」
「強い力を感じる。これは恐らく、あの男の…」




六道が、神根島にいる。

あいつが、ナナリーを





「決まってる!ナナリーは助ける!六道も殺す!俺が!!」




これ以上、奪われてたまるものか!!













神根島の地下道を走る
人の気配はない


ナナリーも、六道も



どこにもいない



やがて開けた場所に出ると、遺跡のような扉が現れる

以前ガウェインを手に入れた場所だった



そっと手を触れる


トラップは仕掛けられていない



さっきのはただの時間稼ぎか?



心理的拷問…六道が好みそうなものだ



だが、それならば何故C.C.の過去を見せた?




あれは俺より、C.C.へと向けられたトラップだった




「…」

一発の銃声が思考を妨げる

「こちらを向け。ゆっくりと。」


…こんな時に!!


「聞こえなかったのか、ゼロ。」


「…ユーフェミアは罪無き日本人を一方的に殺した。」
「便利な力だな。ギアスとは」



その言葉に、驚く

だが直ぐに、六道が言ったのだろうとわかった



妹のナナリー
幼馴染のスザク


そして…ツナ



あいつは、俺の大切なものを全て奪うつもりか





「カレン!」


その名が出ても、さして驚かなかった。

どうせ、六道がよんだのだろう


「君にも立ち会う権利がある」
「待っ…!」

銃声がして、仮面が割れる


まるで入江正一の時のように


「信じたくは、無かったよ…」


よく言う

信じたくなかったということは、疑っていたということだ

俺より六道の言葉を信じた、そういうことだ

「君は嘘をついたね。僕とユフィに。…ナナリーに。」

スザクが銃を構える

「そうだ。だが、ナナリーは関係ないだろう。返してもらうぞ…言え!六道はどこにいる!?」
「六道…?」
「しらばっくれるつもりか。それとも既にお前に憑依してるのか?」
「何を言っている。」
「ナナリーを攫ったのは六道だろう!」
「ナナリーが、攫われた…!?」

スザクの目が驚愕で開かれる

それが演技かどうかはわからない

「わかったならそこを退いてもらおう。ナナリーは俺が助ける。殺させはしない!!」
「それはできない。」

スザクが銃を構えなおす

「撃てるものなら撃ってみろ…流体サクラダイトをな」
「なっ!」
「俺の心臓が止まれば爆発する。お前達もおしまいだ」
「貴様…!」
「それより取引だ。六道の居場所を教えろ。早く!!」
「ここから先のことはお前には関係ない!お前の存在が間違っていたんだ!ナナリーは俺が!」





その言葉に、理性がとんだ





ナナリーだけは奪わせない!!



「スザク!」
「ルルーシュ!!」


懐から銃を取り出し、撃つ





弾はインカムにあたり、俺は一瞬にしてスザクに押さえつけられた




「ゼロっ!」
「こんな男を護りたいのか、君は!!」



スザクが叫ぶと、カレンがどこかへ走り去る



「っ…」



こんなことをしている場合ではない

直ぐそばに六道が…ツナの仇がいるというのに!!



「貴様を拘束する」
「っナナリーは!ナナリーを…」
「ナナリーは俺が助ける!お前の存在は、彼女にとって必要ない!!」
「お前に何がわかる!!」



俺にとってナナリーがどんなに大切で、必要か



「ナナリーも同じことを言ってた。ルルーシュが、自分の全てだって」



ナナリーにとっても、同じなのか




「黙れ」




スザクは締め上げる力を強くすると、俺を拘束して白兜へとつれていく





「っ!ナナリー!!」




神根島から遠ざかる
六道を、やっと見つけだしたのに



「ナナリーを助けるんじゃなかったのかっ!!」
「お前には関係ない。」
「貴様!!」
「既に通信はしてある。今はゼロの身柄を拘束するのが最優先だという命令だ」
「馬鹿な!」



スザクの言うことなど、六道と繋がりのある者の言うことなど信用できない



「黙れ」という声と共に、頭部へ衝撃を感じたのを最後に俺は意識を手放した


















次に気がついたときは既に牢獄の中だった


服もC.C.の着ていたものと同じ拘束衣へと変わっている





「…六道の好きそうなことだな」
「気がついたか」



牢の外にスザクが立っていた
汚いものを見るような目で俺を見る





「来い」


引きづられる様に外へ出される



向かう先にはおそらく、六道がいるのだろう





それはこちらにも好都合だ





―殺してやる






拘束されていても、俺にはギアスがある。





ツナの仇を打つ







六道を殺す!!







扉が開かれる







「久しいな、我が息子よ」
「!貴様ぁぁ!!」








そこにいたのは六道では無く…だが、六道と同じくらい、憎くて許せない相手だった




「皇子でありながら反旗を翻した不肖の息子。だがまだ使い道はある」
「何!?」
「記憶を書き換える。ゼロであること、マリアンヌのこと、ナナリーのこと、沢田綱吉のことも」
「なっ!何故お前がツナのことを知っている!!」

皇帝は答えない
代わりに、奴の両目に、王の力が宿る

「まさか…ギアス!?」
「全てを忘れ、ただ人となるが良い」
「やめろ!また俺から奪うつもりか?母さんを!ツナを!ナナリーまで!!」
「シャルル・ジ・ブリタニアが刻む。新たなる偽りの記憶を」
「やめろー!!!」

















―皇歴2018年

何かが足りないと思ってた。大切な何かを忘れているような気がして。
桜の木を見ると、何故か胸が痛くなって。理由も分からないのに泣きたくなった。



「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。貴様達は…死ね!」



あの日から、俺の心には納得がなかった
咬み合わない偽者の日常
ずれた時間
別の記憶を植えつけられた家畜の人生
そう、すべては偽りの記憶―


「世界は変わる。変えられる…」




俺は生きている。
まだ、遅くはない。
ナナリーのため。そして…ツナのために。
優しい世界を作ってみせる





「お待ちしておりました、ゼロ様。どうか我等にご命令を」
「良いだろう。何故なら、私はゼロ!世界を壊し、世界を創造する男だ!」







六道を探し出して、殺す。





そしてブリタニアをぶっ壊し、日本を取り戻す!












それが、最後に交わしたツナとの約束なのだから。