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「うっ…」 頭が痛む 「なんだ?いつの間に寝て…」 立ち上がろうと手をついて…ぬるっとした感覚にそれを見る 目の前には、真っ赤に染まった自身の手。 「なっ…」 視線を下へと向けると、真っ赤に染まった制服。絵具などではないことは、むせかえるような匂いですぐわかる 視線を這わせた先に、信じられない光景が、広がっていた 「………ツ、ナ…?」 STAGE 35 復讐 「ツナ!!」 目の前に倒れているツナは、赤く赤く、染まっている。 「しっかりしろ!!ツナ!!おい!!」 全てが赤で染まった世界で、唯一ツナの顔だけが真っ青で。 肩から腰まで走る傷痕からは大量の血があふれ出していて。 なんだこれは。何が起こっている。何故ツナが血だらけで。こんな場所に倒れていて。血が、いっぱい、血が。あふれて。 嫌な予感が背筋を走り、母さんの最期がフラッシュバックする 「っ…待ってろ、今…!!」 救急車、医者を早く、違う、匣、笹川、治療、そうだ、笹川、番号、登録 携帯を取り出すと、血で汚れるのも構わずコールボタンを押す だが、聞こえてきたのは留守番電話サービスにという機械音声で、その場に携帯を投げつけた 「くそっ!!」 早く、止血をしなければ。 引きちぎるように制服を脱いで、傷口を縛るために抱きかかえた時。 ふれてしまった心臓はもう、動いていなかった 「……ツ、ナ?おい、ツナ?」 「おい、いつまで寝てるんだ?これから黒の騎士団とボンゴレの最終協定について話し合う約束だろ?」 「…ツナ?なあ、返事を…」 そっと手を触れる。 昨日まで、笑っていたその頬に。 昨日までは、大きく開いていたその瞳に。 ぴくりとも動かない。胸も、口も、目も、頬も、手も、足も。 「っ…うわぁぁぁぁ!!」 動かない。もうその瞳が開くことは、ない。 「ルルーシュ」 「…C.C.…」 「私が来たとき、既にその男は死んでいてお前がそこに立っていた。」 「俺が…?」 どういうことだ。俺が、ツナの前に立っていた?そうだ、そもそもなぜ俺はこんな所にいる。何故、血まみれの制服を着て、こんな場所に倒れていた。 「記憶が無いのか?では、クラブハウスでナナリーに話しかけられたことは?」 「ナナリーが、俺に…?」 「…だが、あの時既にお前は普段のお前ではなかったかもしれない。部屋を出てきてた時から妙な気配がお前の身体から感じられた」 「部屋…?たしか、あの時六道が…!!」 突然部屋にやってきて、文句を言う前に目の前で拳銃を自らに向け撃った。 その直後からの記憶が、無い 「六道輪廻…」 憑依能力のあるあの男なら、簡単だ。俺の体を使って、ツナを殺した…? 実らない片想いに嫌気がさし、叶わないならいっそ、死をもって自らのものにしようと。 俺への嫌がらせに、この身体を使って。ツナを…!! 「…ルルーシュ」 「六道はどこへ行った」 「わからない。お前の体に触れた瞬間、私も意識を失った」 意識を失った…?不老不死のC.C.にも、六道輪廻は使えるということか。 「…おいC.C.。俺がクラブハウスを出る時に、ナナリーが話しかけたと言ったな」 「ああ。無視していくからお前らしくないと思い、私も後を追った」 「ナナリーと六道が接触した…?ナナリー!!」 ナナリーが危ない。わざわざ俺を身体を使ってツナの命を奪ったのだ。 次に六道がすることは… 「C.C.!お前はクラブハウスへ戻ってナナリーを護れ!!俺がナナリーに何かしようとしたら、触れないように気を失わせろ!」 「…なかなか難しいことを言うな。」 C.C.がクラブハウスに向かう まだ、俺の意識ははっきりしていた C.C.がいなくなった瞬間をねらって憑依しようと六道が現れる可能性もあると思ったが… 「六道骸…」 心が憎しみで支配される。 ツナの仇打ちなどというつもりはない。 これは、復讐 「次に会った時が最期だ…」 お前を、地獄に堕としてやる 着信を告げる音が響く 表示されている名前は「SASAGAWA」だった 「俺だ」 「…今すぐ、クラブハウス裏まで来てほしい。」 「誰にも言わず、一刻も早く。…頼む」 「そんな…」 笹川は呆然とツナを見つめ、崩れ落ちるように地面に膝をついた 「沢田…」 信じられないというように恐る恐る手をのばして、冷たくなった体に絶望する 「どうして…っ」 「…俺がやったんだ。最後に六道が自害を図ろうとしたところで、意識が途切れて、そこから先の記憶がない。 気がついたらツナが目の前で倒れていて…もう、息はなかった。」 「!六道…だと…?」 「…ああ。いきなり部屋に入ってきて、自らに銃口を向け、止める間もなく引き金を引いていた」 「…何故、六道が沢田を…。いや、それよりも…お前のせいじゃないんだルルーシュ。」 自分だってつらいはずなのに 「お前は悪くない…すまない…本当にすまない…」 頭を下げ、俺のことばかりを気にかける 笹川は、震える手を握りしめ顔をあげた それはもう、マフィアの幹部の顔だった 「このままでは騒ぎになる。沢田の身体を運ぶからついてきてほしい」 「どういうことだ!!」 胸ぐらを掴まれて壁に押し付けられる 「やめろ獄寺!!」 「てめえ、10代目に何しやがった!!」 「ルルーシュのせいではない!!六道が憑依騨を使ったのだ!!」 地下循環室の近くに作られたボンゴレアジトに、獄寺の悲痛な声が響き渡る 「骸、だと…?」 「理由はわからんが、ルルーシュの部屋に来て突然憑依騨を使ったらしい…気が付いたら血まみれの沢田が倒れていたと聞いた。…そうだろ、ルルーシュ」 「…ああ。」 「信じられるか!確かに骸のヤローは気に食わねえ… だがな、本当に10代目に危害を加えるような奴なら、俺もリボーンさんもあいつを10代目の傍になんておかねーんだよ!!」 「…だが、事実だ」 笹川がツナの傷を見せる 鋭い刃物で一閃された痕…その傷口に、獄寺は見覚えがあった 「三叉槍…!?」 怒りが収まると同時に悲しみが襲ったのだろう 獄寺が今にも泣きそうな顔でツナを見つめた 「…今後のことを決めなくてはならん。守護者を集めて、小僧にも連絡を入れよう。ルルーシュ、お前もそこにいてほしい」 「わかった…ツナはどうする」 「…医務室に連れていこう。あそこにはベッドもある。」 「10代目は俺が連れて行く!」 「駄目だ。お前は六道に契約されている。1人になった時を狙い憑依して、沢田の身体を奪うかもしれない」 「………くそっ!」 「俺は現場の状況を説明せねばならん。山本が来たら医務室に向かうよう伝えてくれ。…守護者で契約されていないのは俺と山本だけだからな」 「…おい、契約とはなんだ?」 獄寺が鋭い視線で俺を射抜く 手を下したのは六道であっても、ツナの血にまみれた体は俺が殺したという事実を突きつける 「テメェも契約されてんならどっかで見たことあんだろ、骸の武器」 「…ああ。」 「あれで傷をつけたやつの身体を乗っ取れんだよ。だから10代目は、その力を使うことを禁止させていた」 「!男女逆転祭の時…」 頬を掠めた、あの攻撃が 「っ…俺が、気を付けていれば…」 「あぁ?テメェなんかに骸の攻撃が避けられるわけねーだろ。」 「…だが、」 あれは、逆上した六道がとった行為だと気にもとめていなかった 知っていれば、俺があいつの前でツナが好きだなどと言わなければ、ツナは死なずにすんだかもしれない …いや、今さら「もしも」など考えるだけ無駄だ ツナは…死んだんだ 「…案内してくれ。話し合いに使う部屋があるんだろ」 「ああ…その前に」 笹川が医務室へ向かったのを確認すると、獄寺は再度胸ぐらを掴んだ 「何者だ、テメェ…」 「……」 「いきなりアジトに案内されたにしては冷静すぎるだろ。普通疑問に思わねーか? 10代目のことにしたってそうだ。突然目の前で亡くなってたなら騒いで救急車なり警察なり呼ぶんじゃねーの? にもかかわらず、テメェは芝生を呼んだ。憑依うんぬんにも驚かねぇ」 「…獄寺隼人」 「テメェが10代目を殺したんじゃねえのか!?」 「余計なことは考えず部屋に案内しろ。それが終わったら、お前は六道の部屋に行き奴の手がかりになるようなものを探せ。 俺がいなくなった後も、六道に関する情報が入れば逐一俺に知らせろ」 左目に力を灯す。ずっと使わずにとっておいたボンゴレへのギアス。もう、必要のないものだ。 「ああ、わかった」 獄寺は付き当たりのドアを開けると六道の部屋へと向かう 途中で獄寺に憑依した六道がツナを奪う可能性も考えたが、ギアスのかかっている間はおそらく、六道が獄寺に憑依することはない 身体を乗っ取るということは、意識を憑依させるということ その意識を先にギアスで乗っ取ってしまえば、憑依したとしても意味はない 扉が開かれた 「ちわーっす。なんすか?急に呼び出し………ってルルーシュ先輩!?なんでここに…」 「山本武…」 「!?血だらけじゃないすか!医務室があるから、早くそこに!!」 「今後六道骸の動きをつかんだら随時俺に報告しろ。必ずだ」 王の力が山本を支配する。出し惜しみなどしていられない。する必要もない。 「わかりました。」 これで獄寺が六道に憑依されても、山本が情報を持ってくる。 「医務室に向かえ。笹川が待ってる。」 「そうなんすか?…って、ルルーシュ先輩、その血…!!」 「俺の血じゃない。いいから、早く行け。」 「嫌っす!怪我してねーってんなら証拠見せてください!そんな状態の先輩見たらツナだって心ぱ…」 「…そのツナの血だ」 「俺が、ツナを殺したんだ」 「クロームが倒れた」 笹川が絞り出すような声で告げる。 スクリーンには以前1度だけ会ったことのあるアルコバレーノが映り、通信がリアルタイムでつながっていた。 目深にかぶった帽子に隠れ、表情をうかがい知ることは出来ない 『大丈夫なのか?』 「ボンゴレリングの力を使い、自分自身の幻覚で補っている。最低限の生命機能が限界だが…あとは沢田の用意した医療施設のおかげだな。」 『ボンゴレリング?骸が置いて行ったのか?』 「無造作に部屋に置いてあるのを自分が見つけました。アイツ、許せねえ…!!」 『…前にも幻覚が消えたことがあったんだな』 「あの時は…10代目が骸の後を追って…具合が悪そうだったと…」 『…そうか。おい、ルルーシュとか言ったな』 「…ああ。」 『お前、ツナの何なんだ?友達か?先輩か?ただの部活仲間か?それとも…恋人か?』 驚いたように、守護者の視線が集まる アルコバレーノは、俺の反応を試している 恋人…か。そうだったら、どんなに良かったか。 「どれも違うな。俺たちは“共犯者”だ」 『マフィアのボスの共犯者だと?』 「そうだ。」 「テメエでたらめ言ってんじゃねえ!!」 「おちつけ獄寺!!」 山本が獄寺を抑える。 「とにかくだ。ルルーシュが契約されている以上、いつまた六道が憑依するか分からない。何かあってからでは遅いんだ。ボンゴレの誰かが責任を持って護るべきだ。」 「俺ではなく妹を守ってくれ。クロームと仲が良かったし、六道とも接触している。」 「わかった。じゃあ、ルルーシュとナナリーは俺が責任をもって…」 「俺はもう行く。六道を探さなければならない。」 『どうやって骸を探すんだ?お前一人で何ができる。』 アルコバレーノが淡々と告げる ただ、事実を突き付けるように。 「…俺だけじゃない。俺には黒の騎士団がいる。俺は…俺が、ゼロだ!!」 その場にいた全員が息をのむのがわかった 「ルルー…!!」 笹川の声を無視して、司令室を飛び出す 取り出したのは、携帯 「…C.C.。ナナリーはボンゴレに任せるからお前は俺と来い。黒の騎士団と合流する」 優しい世界を作りたかった ナナリーとツナが笑っていられる世界を それなのにいつから、こんなにも歯車は狂いだしてしまったのだろう |