「はいは〜い、今日はコレかけてね〜」

ミレイさんに手渡されたのは…メガネだった。






STAGE 28 メガネ祭り







「はい」
「まだの人はこっち並んで〜」
「会長、在庫無くなりました」
「えぇ〜ミレイさんともあろうものがしくじったか〜。しょうがない。リヴァル、倉庫から予備持ってきて〜」
「了解。ルルーシュ、こっちのやつ配っといて」
「あぁ」
「なるべく早くね〜」


忙しそうに動き回ってメガネを配っているルルさん達を、俺は離れた場所から眺めていた。


「おはようございます、10代目。これは何…」
「ん?」
「10代目が眼鏡をかけていらっしゃる−!!ちょ、ちょっと待って下さい…直ぐデジカメを用意しますから!!」
「よっ、ツナ」
「おはよう、獄寺君、山本。獄寺君、撮らなくていいからね」


山本と獄寺君に挨拶をしながら、釘をさしておく。
獄寺君は今本気でデジカメ買いに行くためにゴールドカード出してたしね。

「そんなぁ…10代目の珍しいお姿を永久保存しようと…」
「しなくていいから」
「…わかりました。俺の心のアルバムに永久保存しておきます」
「あぁ、うん。そうして」

できればそれもしないでほしいけど、写真を撮られるよりは全然ましだし、そうでも言わないと獄寺君は納得しない。
今日も朝から獄寺君は元気だ。山本も相変わらずだし。

「ところで、何でメガネなんてかけてんだ?」
「まさか、一夜にして目が悪くなってしまわれたんですか!?山の神の呪いだ〜」
「はは、落ち着けよ、獄寺」
「これが落ち着いてられる場合か!!」
「とにかく落ち着いて。これは生徒会のイベントなんだよ」
「イベント?」

やっぱり説明聞いてなかったんだ…。

「ほら、前にもあったでしょ。男女逆転祭りとか」
「あぁ…あったっすね…」
「楽しかったよな〜獄寺」
「楽しくねぇ!!」

俺も楽しくなかった。

「そういえば、俺はメガネ持ってね〜んだけど、どうすんだ?」
「生徒会の人に言えば貰えるよ。俺も貰ったし」

メガネは1つ1つ違うデザインで、同じものは無いらしい。
妙な所にこるのが会長らしいってルルさんが言ってた。

「へぇ。じゃぁ貰いに行くか、獄寺」
「俺は持ってるからいらねぇ」
「獄寺君は授業中に使ってるもんね」
「そっか。じゃぁ貰ってくるな」
「うん。行ってらっしゃい」

「やっと煩いのがいなくなりましたね」
「ははっ…」
「…10代目、実は…」

「ボンゴレ〜!!」
「ぐっ」

後ろからいきなり骸に抱き付かれて首がしまる。

「骸!!10代目にひっつくな!!」
「嫉妬ですか、獄寺隼人?僕達があまりにもラブラブ…」
「誰と誰がラブラブなんだよ!?」
「僕とボンゴレに決まってるじゃないですか!」
「違うから、違うからな、骸」
「照れちゃって〜そんな君も可愛いですよ」

こいつ、相変わらず全く人の話を聞いてない。

「とにかく離れろ!」
「おっと…」
「まったく、お前は何考え…」
「10代目っ、俺の後ろに!骸、てめぇ何のつもりだ!?」
「何とは?」
「その格好だ!!」

格好?
何だろうと骸を見て…呆れた

「何で白衣なんだよ?」
「似合うでしょう。眼鏡ならやっぱり白衣が必要です!!」

さも当然とばかりに言う骸に本気で呆れる。

「気色悪ぃ格好してんじゃねぇよ!!」
「クフフ…白衣の良さがわからないなんて、まだまだ甘いですね」
「何だと〜」

「骸さんの服にケチつけんな!!骸さんが気に入ってるんならいいんらよ!変でも!!」
「犬、フォローになってない」

骸から少し距離をとった位置にいる犬と千種が言った。

「ぇ、そうらの?」
「犬、後で覚えてなさいね」
「ひっ…」
「めんどい」
「あれ、クロームは?」

いつも骸達と一緒にいるクロームがいない。

「変な女に連れてかれたびょん」
「変な女?」
「生徒会長」
「えぇっ!?」
「呼んだ〜?」
「うわっ」
「ど、どこから出たびょん!?」
「普通に後ろからだけど?それより見て、見て。ジャーン」

いきなり現れた会長が後ろにいたクロームを見せるように引っ張る

「ぁ…あの…」
「クロームっ!?」
「なっ…」
「ほぅ…」
「…」
「お前…」
「私が選んだの。可愛いでしょ〜」

クロームは骸に負けず劣らず凄い格好になっていて、勿論メガネもかけていた。
でも服も似合ってるし、可愛い。

「に…似合う?」
「よく似合ってますよ」
「うん、可愛いと思う」
「ありがとう。犬と千種は似合うとお…」

「10代目っ!!」
「避けなさい!」

獄寺君と骸が叫んだのと同時に頭部に衝撃が走る

「っ…」
「大丈夫ですか、10代目!?」
「痛い…」
「何が起きたびょん?」


いきなり何かから攻撃された。

敵襲!?

それにしては皆落ち着いてるような…

「やあ、相変わらず群れてるね」
「ひ…ヒバリさん!?」

いつの間にかヒバリさんがいてトンファーを構えていた。
てか、俺の血がついてるんですけど…

「今日はやけに眼鏡をかけた生徒が多いし…君達もかい?」
「ヒバリさん、これにはわけがあるんです!!生徒会のイベントなんです!!ヒバリさんは眼鏡かけないんですか?きっとすごい似合いますよ!!」
「六道骸、その格好は何?風紀が乱れる」

俺無視された!!
しかもクロームには突っ込み無し−!?

「てめぇ…10代目を狙っただけじゃなく、10代目のお話を…」
「獄寺君っ!!」

ヒバリさんは無言でトンファーを振り獄寺君が倒れる。

「弱い草食動物の群れに紛れた肉食動物か…悪くないね」
「ひっ…」
「咬み殺…」

「そうはさせねーびょん」
「骸様に手出しはさせない」
「ふぅん。でも、君達じゃ話にならないよ」

骸を護るように犬と千種がヒバリさんの前に出る

「2人とも退きなさい。僕がやります」
「咬み殺す」
「クフフ」

でも骸は自分で戦うようで、2人は後ろへと下がった

骸とヒバリさんが武器を構えて一触即発状態の時…

「雲雀恭弥君じゃない。久しぶりね。でも、何でメガネかけてないの?」
「…」
「今日はメガネ祭りなんだから、かけないといけないのよ」
「…」

命知らずとも、無謀とも思えるミレイさんの行動に全員が驚く。

ヒバリさんが何かする前に止めなきゃ!!


「…」

あれ?雲雀さんがミレイさんを避けてる?

「無視するの?」

「煩い」

嫌そうにヒバリさんは言うけど、手を出そうとはしない。

いつもだったら誰であっても気にいらなかったらトンファーの被害にあうのに。

骸も殺気を消し、面白いものを見るようにヒバリさんを眺めてる。

「会長、予備の眼鏡を…雲雀恭弥!?」
「久しぶりだな〜ヒバリ君」
「ヒバリ君!?リヴァル、雲雀恭弥と仲が良いのか?」

リヴァルさんの言葉にルルさんだけじゃなく、俺と骸も反応した。

ヒバリさんがリヴァルさんと仲良いとは思えないけど…。

「全然。でも、同じクラスだし」
「…」

ミレイさんといい、リヴァルさんといい…生徒会の人たちは怖いのも知らずなようだ。

「僕の呼び方なんてどうでもいいよ。問題なのは…」
「ひっ」
「君達が群れてる事だ」
「僕のボンゴレに手出しはさせませんよ」
「待ちやがれ!!10代目の右腕は俺だ!!だから俺がやる!!」

さっきヒバリさんにやられた傷を押さえながら獄寺君が立ち上がる

「…クフッ。なら君に譲ってあげます。どうせやられるのがオチですけどね」

…骸?
めずらしい。普段なら自分がやると言って譲らないのに。

「なんだと…」
「ほら、来てますよ」
「ちっ、ロケットボム!!」
「甘いね」

「うわっ」
ヒバリさんの攻撃が俺にも飛んでくる

「ボンゴレ!大丈…」

「ツナ、平気か?」
「はい」
避けて転びそうになった俺を、近くにいたルルさんが支えてくれた

「そうか、よかった。ツナはメガネも似合うんだな」
「そ、そうですか?何か照れるなぁ。ルルさんも似合ってますよ。凄く…カッコイイです」
「っ…」

ルルさんが少し照れてて、俺もおもわず照れる。

「ぁ、あの…変な意味とかじゃなくて、見慣れてないせいなのかな?何か普段とちがうなぁって…」
「ツナ」
「はい」
「ツナ、お前は凄くか…」
「そこまでです!!ボンゴレに近付かないでもらえますか?」

そう言いながら骸はまた後ろから抱きついてくる

「近付いてるのはお前だろ!」
「骸、離れて」
「嫌です。僕はくっついていたいんです」
「キモイから離せ〜」
「その状態の君では僕には勝てませんよ」

耳元で囁かれて悪寒を感じる。

「六道、ツナを離せ!!」
「…」
「ぇ…」

骸が俺から手を離し、1歩下がった事に、俺とルルさんは驚く。

「骸?」

いつもなら、ルルさんを威嚇しつつ、俺に抱きついたままのはずだ。
そして、そのままルルさんに殺気でも放つのがいつもの骸だ。

「僕よりルルーシュ・ランペルージが良いんですね!!」
「は!?」
「なっ!?」
「酷いです!!ボンゴレの馬鹿〜」
「ちょ…俺が悪者みたいに言いながら去ってくな!!」

漫画によくありそうなセリフを、変な行動付きでやった骸は凄い早さで去っていった。

「六道のやつ…相変わらずだな」
「そうですね…」

「てめぇ…骸さんに何しやがった!?」
「壊すよ?」

その様子を見てたんだろう犬と千種に睨まれる。

「何もしてない!何もしてないから!!」
「そうだ!!ツナは悪くない」

「あぁ?何だお前…」
「ルルーシュ・ランペルージ。この学園の生徒会副会長だよ、犬」

「そうらっけ?」
「そうだよ」

そんな奴いたっけ〜なんて言いながら犬と千種が近づいてくる。

「10代目っ!」
「何よそ見してるの?」
「ちっ…」

獄寺君が俺を心配してくれるけど、獄寺君こそヒバリさんと戦ってるんだから心配だ。

「とにかく、ツナは悪くないんだ」
「なら、えっと…」
「ルルーシュ・ランペルージ」
「そうらった。お前が悪ぃのか?」
「そういうわけじゃ…」
「犬、いい加減名前覚えなよ。雲雀恭弥みたいになるよ」
「げっ。それは嫌ら」

ヒバリさんは興味無い人の名前覚えないからなぁ…。

「僕が何だって?」
「ひっ!!」

俺の背後には何故かヒバリさんがいて、獄寺君を見たら地面に倒れてた。

「10代目、逃げて下さい!!」

「何々、これって沢田君巡っての喧嘩〜?」
「会長、それはちょっと違うんじゃ…聞いてないな」
「火事と喧嘩は江戸の華ってね〜。いけいけ〜!!」
「えぇい!会長が楽しいんならなんでもいい!!」

「ちょっと待ってよっ!!」

何で火に油!?

「ボス…頑張って」
「クロームもなの!?」
「覚悟はいいかい?」

血のついたトンファーが光る。

「ひぃぃっ!」
「10代目に手出しはさせねぇ!!」

獄寺君がふらつきながらも立ち上がり、ダイナマイトを構えた

「お前達、少しは人の話を聞け!!」

ルルさんの声は無視される。

「いくよ」
「ライオンチャンネル!!」
「めんどい」
「2倍ボム!!」

「ストップだってば!!」

「つまらないな」
「のやろ〜」
「チッ…」
「うわぁっ!!」

「だからストップだってば−!!」


俺の制止なんて誰も聞いてくれなかった






「はぁ…はぁ…俺、一応ボスなのに…」
「うるへぇ…てめぇなんて…認めねぇびょん」
「10代目に何て事…言いやがる…」
「俺達が認めるのは骸様だけ…」
「犬、千種、あまり動かないで。包帯巻けない」

戦いが収まったのは、みんなボロボロになった後だった


「うるへー!!」
「ぜぇ…ぜぇ…」
「10代目、大丈夫ですか?」
「うん…ヒバリさんは?」
「『つまんない。帰る』って言ってどっか行きました」
「さすがヒバリさん…」

この戦いで無傷だもんな…。

「犬、暴れないで」
「俺にさわんな!!」
「犬…っ!?」

「んぁ?」
「クローム?」
「っ…むくろさまっ…」
「どうしたの?」

クロームの様子が変だ。

「ぁ…」
「どうしたびょん!?」
「クロームっ!!」

「むくろ…さま…」

「…何?具合悪いの?」
「ボス…むくろ…さまが…」

クロームの様子に気づいた生徒会の人たちも集まってくる

「クローム!?」
「っ…ゴホッ」

「クロームっ!!」

クロームが吐血し、その場に倒れる。

「クローム!しっかりして!!」
手を握り、身体を抱き起こすと、内臓が失われていた

「早く医務室に連れてって!ルルーシュ、あんたは救急車呼んで!」
「わかりました」

「クローム!」
「むく…を…ボス…」

骸…どうしたんだよ!!










クロームの内臓は元に戻った

だけど体調が良いわけはなくて、今は学園地下のボンゴレアジトで休んでいる

もしものときのため医務室は充実させてあるから、医者に見せるよりも安心だ


「はぁ…はぁ…ぐっ…」

俺達がいた場所から少し離れた森の中に、骸はいた。

右目を押さえて、辛そうに木にもたれかかっている


あんな骸、俺は知らない


「この僕がなんてザマですか…」

「メガネ…かけてないと会長に怒られるよ」

「ボンゴレ!?」

骸の側に投げ捨てられていたメガネを拾い、差し出しながら言った。

あの骸が、俺の気配に全く気付いてなかったみたいで、驚いてこっちを見る。

「さっき、クロームが倒れた」
「…」

「お前の幻覚の内臓が一時的に消えたかららしい」
「…」

「お前、調子悪いのか?」
「…えぇ。この頃時々右目が痛むんです。疼く…と言った方がいいかもしれませんが」

骸は本当に辛そうで、顔色も悪い

「一度イタリアに戻って医療班に…」
「大丈夫です」

「でも…」
「大丈夫ですっ!!」

「っ…」
「ぁ…すみません。大声を出したりして…」

大声を上げた事に、骸自身が一番驚いているようだった。

「いや、驚いただけだから」
「…大丈夫ですから。もう痛みも消えましたし、クロームの内臓もちゃんと維持出来てます」

「…本当か?」
「えぇ」

大丈夫そうには見えなかった
でも、これ以上言っても骸が譲らないであろうこともわかっていた

「今度調子悪くなったらイタリアに連れてくからな」
「一緒に行ってくれますか?」
「はぁ?何子供みたいなこと言ってんだよ」
「行ってくれますか?」
「…わかった。わかったから手を離してくれ」

俺の服を掴み、縋るように見つめる

どうしたんだよ、骸。


「絶対ですよ!」
「わかったから」












今から考えれば、この時から…もしかしたらもっと前から骸には違和感があったかもしれない。

でも、俺はそれを放置してしまった。

もっと俺が気をつけていれば…骸のことを想って見ていれば、こんな事にはならなかっただろう。

だから、こんな…こんな最悪の形になってしまったのは…俺のせいだ。

俺が過去に縛れて、現在も未来も見ようとしなかったから…。

骸、ごめん。

ごめんな…骸。