あの日からもう半月がたったんだと、カレンダーを見るまでわからなかった










あっという間で、永遠に感じるほど長かった半月の間に俺のいる場所は随分と変わってしまった










日本が、ブリタニアの植民地になったこと







あくまで10代目“候補の一人”だった俺が、9代目の推薦でほぼ10代目に決まったということ






お兄さんを正式にボンゴレファミリーに入れたということ






時期ボンゴレボス10代目を護ったのだから、守護者にふさわしい資格があること、







お兄さんの家族はもう誰も生きてないこと







そして…京子ちゃんの遺体は、未だ日本にあるままだということを、リボーンから聞かされた









「っ…」









日本という国は、もう存在しない








ブリタニアの植民地に…エリア11になってしまった場所に、簡単に入ることはできない






京子ちゃんの遺体を、埋葬することも、探し出すことも出来ないんだという現実が突きつけられる









俺は、なにも出来ない。







お兄さんをマフィアになんてしたくない









だけど、家族も帰る場所も失ったお兄さんはそうするしかない









日本に戻っても、もう何も無い










大切だったものは、一瞬にして全て無に返ってしまった






俺にはもう、どうすることもできない








何も出来ない、力が、無いから






















扉が開かれる













ゆっくりと現れる姿は、あの日最後に見たときよりも傷だらけで、悲しげだった













「…沢田」






















STAGE 25  決意
























顔が、上げられない



お兄さんを、見ることができない














「もう起きて大丈夫なのか?」




「…」






本当は辛かった






体中が痛くて、シャマルにもまだ安静にしているようにといわれている






だけど、寝てるなんてできない






「沢田…」








お兄さんの声に悲哀が混じる









胸が締め付けられて、泣きそうになった







少しだけお兄さんのほうに頭を向ける












顔を見ることは出来なくて、視線は下に彷徨わせて














包帯だらけの身体が目に入る











涙が出そうになった













「お前が無事でよかった」









「っ…!」





かみ締めるように、しぼりだされ台詞に、今度こそ抑えられなくなる







よくなんて、無い








俺なんか、いなくなっても、よかったのに。





「一時はどうなることかと思ったが、よく持ち直してくれた。本当に良かっ…」
「京子ちゃんが死んだのは俺のせいです!!」






お兄さんの言葉をそれ以上聴きたくなくて声を張り上げた












責めてほしいのに








お前のせいで京子は死んだんだと、責めて、怒って









「そんなことは無い。お前は、京子を護ってくれたのだろう?」
「違います!護られたのは俺で、俺は、何も…!」









護られたのは俺で。俺のほうで。







リボーンの特訓を受けてたのに









結局、リボーンがいなくちゃ何もできなくて










「俺が、ダメツナだから…京子ちゃんのこと、護れなくて!お兄さんを…助けてほしいって、京子ちゃんに、頼まれたのに…!!」









「…京子が、俺を…?」









「なのに俺は、お兄さんに助けてもらって…!京子ちゃんは、し…しん・・・死んだ・・・の、に…」










視界がかすんで声が震える











泣きたいのは、お兄さんの方なのに











「俺の、せいで、マフィアになんて、…させられて、京子ちゃんの遺体も、捜せ、なくて…俺が、、お兄さんまで、俺のせいで、まき、こんで…!!」











「落ち着け沢田!!俺はそんなこと思ってない!!」









肩を捕まれ、お兄さんのほうに無理矢理顔を向けられる







力が入っていて、全身に痛みが走った










「…っ!!」











「…沢田。俺は、お前に感謝している。」







「…っ…で…」








「お前は、京子を護ってくれた。生きていてくれた。それだけで、俺は十分だ。」











「…でも、俺のせいで京子ちゃんは…」











「お前のせいじゃない。…京子のことを想うなら、精一杯生きて欲しい。」










「……そんな…」






その言葉は
酷く優しくて、残酷だ










京子ちゃんのいない世界で、生きるなんて












「そして、できれば笑ってくれ。いままでのように、そんな辛い顔ばかりじゃなく、極限に、な!!」








お兄さんのほうが、辛いはずなのに







京子ちゃんだけじゃない





家族も、帰る場所も、全て失ったお兄さんが、俺を元気付けようとしてくれてる









「お兄ちゃんを…助けて…ツナ君…」
「お前が無事でよかった」











俺は、2人を裏切れない














「…おにいさん、おれ、は…」








裏切れない








だから













「おれは、」



















その日、俺はマフィアになると決めた






京子ちゃんの最後の願いを叶える為

そして、お兄さんとの約束を護る為に







その為だけに、生きると決めた















お兄さんを護る為
生きるという約束の為に
















だから俺にはもう、大切な人はいらないんだ