「1つ…聞いていいですか?」 「なんだい?」 「どうして俺はここにいるんでしょうか」 「ああ、それは…」 目の前に座る白の皇子は、ニッコリ笑ってこう言った 「誘拐、かな?」 かな?って…!!! 白の皇子 どうしよう。これは非常にマズイ。 「…誘拐、ですか?」 見覚えの有りすぎるこの誘拐犯は、間違いなくテレビで何度も見たブリタニア第2皇子だ 「うん。それより紅茶は嫌いかい?手をつけてないようだけど。別なものを持ってこさせよう、何がいい?」 イタリアの属するEUに何度も戦争を仕掛けてきている張本人、シュナイゼル・エル・ブリタニア そんな人物が俺を攫ったということは…このままでは俺は人質として外交の道具にされると考えてまず間違いない 「いや、紅茶がどうこうじゃなくて普通誘拐犯に出されたものに迂濶に手をつけたりしないと思うんですけど…」 「ああ、それは済まなかったね。毒なんて入ってないから安心していいよ」 「へぇ…そうですか…」 俺の不注意のせいで、沢山のEUの人達を苦しめるなんて絶対に駄目だ。 なんとかしてここから逃げ出さないと… 「それで、君を攫った目的だけど」 第2皇子が真剣な顔で俺を見つめる きた、と思った こうなったら仕方無い 拷問でもなんでもすればいいんだ 俺は絶対にEU領土化作戦になんか協力しないし、人質にするっていうなら最悪自害してやるんだから 「私の妻になって欲しい」 「絶対い………………はい?」 「受けてくれるかい?」 「……いえ、すみません。何か聞き取れなかったんですけど今なんて?」 「私の妻になって欲しい」 「お断りします」 どうしよう。皇子も骸に負けず劣らず電波だった。 「…訳を聞かせてくれないか?」 「俺、男ですよ」 ああそっか。作戦を変えたのか。俺と結婚してEU乗っ取り計画か。 でもそれ無理あるんじゃないかな。ボスって言っても国の代表じゃなくてマフィアだからね。裏世界の人間だからね。 「それなら心配しなくていいよ。ブリタニアの法律を変えればいい」 「そういう問題じゃないでしょ!結婚は好きな人とするものです!!」 はっと気付いたときには遅かった しまった!皇子に向かってなんて口聞いてんだ俺ー!! 第2皇子は目をぱちくりさせてこっちを見ている ヤバい、皇族に無礼を働いたなんて外交問題に発展したら… 「私は君が好きだよ」 「…は?」 「済まない、少し焦り過ぎたようだね。私は君が好きだから結婚して欲しいんだ」 …何言ってんだこの電波皇子様は 「俺達今が初対面ですよね?」 「そうだね、まずは自己紹介からはじめよう。私はシュナイゼル・エル・ブリタニア。ブリタニアの第2皇位継承者だ」 「はぁ…沢田綱吉です」 「…!そうか、君は日本人だったのか」 「…は?知ってたんじゃないんですか?」 「いや。君は何処に住んでるんだい?疎開にいたということは名誉ブリタニア人なのだろう?」 「…すみません、1つ聞いていいですか?なんで俺を浚ったんです?」 もしもこの人の言ってることが本当なら、俺がボンゴレ10代目と知らないことになる それなのに、俺を浚う理由なんて… 「恥ずかしながら一目惚れでね。部下に命じて連れてきて貰ったんだ」 皇子の影から女性の様な容姿をした男の人が出てくる 「な!さっき道端で具合悪そうにしてた人ー!?」 「申し訳ありません。貴方様が心配して近づいて来た際気を失っていただきました」 「ああ…だから気付いたらここにいたわけ…」 「このアバロンで空の散歩をしていたら君が下を歩いているのが見えてね。」 わぁ。皇子様って凄いなぁ。散歩にこんなの使うなんて! 第2皇子は自然な仕草で俺の手をとると、そのまま甲にキスをした 全身に悪寒が走る 「私と結婚してくれな…」 「お断りします!!」 「認めんぞ!!シュナイゼル・エル・ブリタニアァ!!」 爆発音と共に、またしても見覚えが有りすぎる人物が現れた 見覚えが有るって言っても実際会ったのは1回だけで、いつもはテレビで見てるんだけどさ 「ゼロ…君は私の妻とどういう関係なのかな?」 「はぁ!?何ちゃっかり妻とか言ってんの!?違うから!!」 「その手を離せ!!ツ…沢田から離れろ!!沢田はお前の妻などでは無い!!」 何はともあれ助かった。 ゼロに気をとられているうちに皇子から離れようとするが、それに気付いたのか凄い力で引き寄せられて逆に皇子の胸に倒れ込むことになった 「ぎゃああ!離してください!!」 「シュナイゼル!貴様ぁ!!」 「そこまでだゼロ!殿下、お下がり下さい」 俺をここに連れてきた側近がゼロと皇子の間に立つ いや、今悪いのは完全に皇子の方だよね? ゼロが正義の味方って本当だったんだなぁ たかだか1人が浚われただけで助けに来てくれるなんて 「ゼロ、貴様どうやってここまで来た?空を飛びながら警備も完璧であるこの艦に」 「君達が素晴らしいナイトメアをプレゼントしてくれたからな。警備はお願いしたら簡単に通してくれたが?」 「ガウェインのフロートシステムか…!!お願いなど戯れ言を!!」 「信じる信じないは勝手だが本当のことだ。」 「貴様ぁ!!」 側近が銃を構える 「!止めろ!!!」 皇子の腕を振り払ってゼロの元へ駆け出そうとしたときだった 「ボンゴレェェ!!」 艦が揺れたと思うと、今度こそ見慣れた…毎日この目で見てる特徴的な髪型が目の前に現れた 「骸…」 「大丈夫ですか!?何もされてませんか!?」 「あんま大丈夫じゃないけど大丈夫だ。ていうか足元見た方がいいよ。」 「ん?何ですか?」 天井を突き破って現れた骸は…皇子の側近を踏みつけていた 「…なんてことでしょう。靴が汚れてしまいました」 「なんでかな。そうだねって言いたくなっちゃったよ」 いやだってあの人が連れてこなければこんなことになってないしね でも元凶はあの皇子だからあの人は悪くないのかな 「やれやれ。カノンがやられるとは…今日は諦めるしかないかな」 「今日だけじゃなく一生諦めてください」 「それは無理だね」 ニッコリと言う皇子に最早殺意に近いものが沸いてくる もう無視だ、無視。 「ありがとうゼロ。助けてくれて。」 「礼を言う必要は無い。私は私のやりたいようにしただけだ」 「そうですよボンゴレ!大体この男を倒したのは僕です」 「でもゼロが来てくれなかったら(俺の貞節が)危なかったし。だからありがとう。嬉しかった」 「…そ、そうか…」 フイッとゼロが顔を背けた …どうしたんだろ?仮面で顔が分からないからな… 「ボンゴレ!僕は役にたたなかったと!?」 「そんなことないよ。骸が来てくれなかったら(ゼロが)危なかったもん。ありがとう。骸のおかげで助かったよ。」 「ボンゴレェェ!!ぐえっ」 どさくさに紛れて抱き着こうとする骸をいなしつつ皇子に目を向ける 皇子は笑みを浮かべたまま「ライバルが多いようだね」と苦笑した 「私は諦めないよ。必ず君を妻に迎える」 「…すみません俺婚約者いるんで」 空気が凍った 「「「なっ…!!」」」 「失礼します。行こう、骸。ゼロも。…骸?ゼロ?」 石化した3人に疑問を抱きつつ、早くここを出ようと2人を引きづって部屋を後にする 皇子は追ってこなかった 「骸〜、ゼロ〜?どこから帰ればいいのこれ??ガウェインってどこに…」 「ボンゴレェェ!!」 「沢田綱吉!!」 「はい!?え、何でしょうか…?」 「婚約者ってなんですか!?まさかルルーシュ・ランペルージなんて言いませんよね!?」 「婚約者とはどういうことだ!まさか六道骸とでも言うつもりか!?」 「あ〜、強いて言うならボンゴレ?将来誓ったって意味では」 「「ボンゴレ!?」」 「うん。…って、おーい?2人とも?」 「ボンゴレがボンゴレと婚約…まさかそんなことが!?ボンゴレがもう1人いると!?」 「どういうことだ!?クローン…いやボンゴレと言う名の人物か!?決めつけるな、まだ可能性は27通り…」 「おーい?骸?ゼロ?」 「ルルーシュ・ランペルージだけでも鬱陶しいというのに…!!」 「六道骸だけでも厄介だというのに…!!」 「…俺、先帰るよ?」 せっかくシュナイゼルと対面したのにギアスをかけ忘れたとゼロが気付くのは随分と後のことだった |