「はぁ…僕は何て馬鹿なことをしてしまったんでしょう?」

この学園に来た日に、僕は人を意のままに操る力を手に入れた。
六道輪廻は、契約後僕が精神を乗っ取り乗り移ることで力を発揮する。
完全に乗っ取ろうとすればするほど精神に負担がかかるし、怪我をすれば僕自身にも影響が出る。
だがこの力は違う。
いかなる相手にでも命令を下せる絶対遵守の力、ギアス。
1人に1度しか使えないという欠点はあるが、負担もかからず、相手に何が起ころうと関係ない。
そして―契約など、必要としない。


「この力があれば、ボンゴレとあ〜んなコトやこ〜んなコトだって出来たのにぃ!!」


なのに、なのに!僕はなんて愚かなことをしてしまったんですか!!
悔やんでも悔やみ切れません!!

「骸様」
「…何ですか?僕は今傷心中なんです。放っておいてください」
「心の声がだだ漏れです」
「気にしません」

千種の言葉に机に突っ伏したまま反論する。

「ボンゴレェ…」
「骸さん、気にしてくらはい」

千種の次は犬。
彼等に言わせると、僕には常に威厳を持っていて欲しいらしい。
どんな夢見てるんですか、君達。

「嫌だって言って…!」

刹那、風を切る音が言葉を遮り突っ伏していた机が真っ二つに割れた。
あのまま動かなかったら僕の頭蓋骨は確実に真っ二つだっただろう。相変わらず容赦ない。

「本当に気色悪いよね、君。君のせいで一緒に転入した僕まで変な目で見られて迷惑なんだけど」

心底嫌そうな目で雲雀恭弥がこちらを見る。
その言葉に肩をすくめた。

「それは君が所構わずトンファーを振り回してるからではないですか?」
「変態パイナップルが何を言ってるの?大体、沢田綱吉沢田綱吉煩いんだよ」
「な…そこまで気にするなんて、まさか君もボンゴレが好きなんですか!?許せません!彼を手に入れるのは僕です!!君になんか渡しません!!」
「君、本当に僕の話を聞かないよね」
「煩いですよ、雲雀恭弥!!死になさ…」

「骸さんらめです!」
「骸様っ!」

六道輪廻の力を発動させようとした時、犬と千種が飛びついて邪魔をする。

「離しなさい、犬、千種!僕は君達に抱きつかれても嬉しくありません!抱きつかれるならボンゴレがいいです!!」
「そんなんじゃないびょん!」
「骸様、六道輪廻の力を使うことは非常事態以外、ボンゴレに禁じられたはずです」

千種の正論に黙る。
雲雀恭弥のトンファ−も山本武のバット(刀)も獄寺隼人のダイナマイトも良いくせに、僕の六道輪廻は駄目って何故なんですか!?
あぁ、でも僕だけ特別っていうのは悪い気はしませんね。

「とにかく落ち着いてくらはい!」
「なら…これで文句はないでしょう!!」

三叉槍を出し、構える。

「クフフフフ。また連敗記録を増やしてあげますよ」
「咬み殺す」

互いを睨み付け、獲物を使おうとした瞬間だった。

「お前達。ここで何をしている?」

この学園で最も嫌な相手が現れたのは。

「…誰?」
「ルルーシュ・ランペルージ。僕達のクラスメイトでこの学園の生徒会副会長ですよ。全く、君は名前だけじゃなくて頭の中身まで鳥並なんですか?」

本気でわかっていない雲雀恭弥に説明をしてあげる。僕って優しいですね。勿論、最後に嫌味を言うのは忘れませんが。

「僕は興味のない相手は覚えないんだよ」

雲雀恭弥の興味基準は純粋な強さ。目の前の男に、それは望めそうもない。

「僕はありますけどね。まぁ、それは純粋な興味とは違いますが」
「へぇ」

無視されたことが気に入らなかったのか、ルルーシュ・ランペルージが少し問い詰めるような口調で尋ねた。

「そんなことはどうでもいい。それより何をしている?学園内での揉め事は禁止だ」 
「それは失礼いたしました。以後こんなことがないよう気をつけますので」
「図書館では静かにしろと習わなかったのか」
「生憎、そう言った教育は受けていませんね」

嫌味と取ったのか、ルルーシュ・ランペルージの視線が鋭くなる
まあ、平和に育ったお坊ちゃまにはわからないでしょうが。

「しかし、君といると酷く気分が悪いです」
「奇遇だな。俺もだ」
「最悪ですね」
「まったくだ」

「骸様…」
「骸さん…」

空気の変化に犬と千種は少しだけ戸惑い、雲雀恭弥は相変わらず少し離れた位置で僕とるルーシュ・ランペルージを見ていた。

…彼が興味の無いものを見るのは、珍しい

「犬、千種、行きますよ」
なんとなく嫌な予感がしながら図書室を後にした。











「面白い」
「何がです?」
「君が敵意剥き出しな事」

夜に部屋に戻れば、雲雀恭弥が楽しそうに眼を細めながら言ってきた。
互いに不本意ながらも、寮の部屋割は同室になっている。

最初の方こそ互いに互いを目の敵にし、仲が悪いということで部屋割りを変えてもらえるかと部屋にいる間中戦ってばかりだったが、
それも不毛な争いだと気付いてからは、一応は部屋の中でのみ通用する約束をした。

互いの領域を侵さないとか、余程の事が無い限り戦わないとか。
それで仮初めの平穏は築けているから笑ってしまう。

だが、それでも今回のように雲雀恭弥から話しかけてくるのは珍しいことだった。

「嫌いなんですよ」
「だろうね」

僕の返答を予想していたみたいに言われる。
まぁ、あれだけ敵視してれば普通は気付くでしょうが。

「ルルーシュ・ランペルージは僕のボンゴレに…まぁいいです。まだ始まったばかりなんですから。ボンゴレを手に入れるのはこの僕です」
「勝手に言ってなよ」

「クフフ。君がボンゴレを好きでないのは幸いです。ライバルは1人でも少ない方がいいですからね」
「ライバル…ね。君は本当に沢田綱吉が好きなの?」
「えぇ。好きですよ」

言い方が少し気になったが、特に何も言わなかった。

「ふぅん」
「何ですか?」
「僕も楽しめそうだと思ってね」

楽しそうに笑う雲雀恭弥に、少しだけ苛つく。

「邪魔する気ですか?」
「さぁ、どうだろうね?」
「ひば…」
「煩い。僕はもう寝る。邪魔したら咬み殺すよ」
「…」

言いたいことを言い終わるとベットに潜り込み、直後寝息を立てて眠っていた。身勝手過ぎる。

「誰にも渡したりしません。僕は、沢田綱吉を必ず…」
「煩い」


どこからか飛んできたトンファーが頭を直撃して、僕の意識はそこで途絶えた



  
「殺す気ですか!!」
「煩い。話しかけるな。」